映画『コンテイジョン』を見た。
コロナで世界が大変なこのご時世、パンデミックを題材にしたこの映画を見ている人が増えているようだ(5/6現在U-NEXTの視聴ランキングで1位)。
『コンテイジョン』は、感染拡大を群像劇風で追っているので、ストーリーが少しわかりにくかったと思う。
そこであらすじを、登場人物ごとにわかりやすく解説してみた。
あとは、今のコロナ問題と絡めた考察とかを補足でやってみます。
完全ネタバレ有りなので、観てない人は注意してね。
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- 映画『コンテイジョン』の基本情報
- 登場人物/キャスト解説
- 『コンテイジョン』あらすじ完全ネタバレ解説
- コンテイジョンのラスト結末ネタバレ考察!感染源はコウモリと豚
- 解説/あらゆる職業からパンデミックを分析した映画
- コンテイジョンのレンギョウ(連翹)はどんな薬?
- 最後にコンテイジョン感想まとめ/これだけスター集めたなら…
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映画『コンテイジョン』の基本情報
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- 公開2011年/アメリカ制作
- 監督:スティーブン・ソダーバーグ
- 脚本:スコット・Z・バーンズ
- 世界での興行収入/円換算で約140億円
スティーブン・ソダーバーグは『オーシャンズ11』とか『チェ 28歳の革命』の監督で有名な人。現実にある社会問題を、リアルに描くのが上手い人。
スコット・Z・バーンズは『不都合な真実』や、『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』の脚本家。ソダーバーグ監督とは、抗うつ剤の副作用をテーマにした2013年の映画『サイド・エフェクト』でもタッグを組んでいる。
監督と脚本の2人とも作風から考える限り、製薬会社の陰謀というか、社会の不当な利益構造をあばきたい系の人なのだろう。
主な出演者はあらすじの次の項目で詳しく解説。
登場人物/キャスト解説
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有名ハリウッドスターが勢揃いしているのも、映画『コンテイジョン』の特徴だ。
ウィルスのパンデミックというテーマで140億円のヒットを飛ばせたのは、キャストが豪華だからだろう。
ここでは、『コンテイジョン』の内容を理解してもらうために、登場人物/キャストをささっと説明する。
ベス・エムホフ(企業の重役)/グウィネス・パルトロー
ベス・エムホフは、アルダーソン社という複合企業の重役。香港へ出張に行った帰りに元彼と浮気後、ウィルによる症状が出た。
グウィネス・パルトローは、映画『セブン』や、マーベルの『アベンジャーズ』シリーズ(アイアンマンの嫁・ペッパー・ポッツ役)への出演で有名な女優。
ミッチ・エムホフ(一般人)/マット・デイモン
ミッチは、ベスの夫で一般人(主夫?)。ミネソタ州に住んでいる。
ベスとは再婚同士でお互い連れ子がいる。
演じたマット・デイモンは『ボーン・アイデンティティー』や『オーシャンズ11』、『オデッセイ』で有名な俳優。
エリス・チーヴァー(研究者)/ローレンス・フィッシュバーン
エリス・チーヴァーは、アトランタのCDC研究センターのお偉いさん。
俳優のローレンス・フィッシュバーンは、『マトリックス』のモーフィアス役で有名。近年は、『ジョン・ウィック』シリーズにも出演している。
エリン・ミアーズ(研究者)/ケイト・ウィンスレット
エリン・ミアーズはCDC研究センターの調査員。
エリスの指令を受けミネソタ州ミネアポリスに調査に出向くが、感染が発覚。
ケイト・ウィンスレットは、みんな大好きな『タイタニック』のローズ役の女優。映画『ライフ・オブ・デヴィッドゲイル』など有名作に多数出演。
アリー・ヘクストール(研究者)/ジェニファー・イーリー
アリーは、CDC研究センターの研究員。コウモリのウィルスと豚の遺伝子の接触によって新種のウィルスが生まれたと突き止めた人物。
ワクチンMEV-1を発明し世界を救った。
ジェニーファー・イーリーは『高慢と偏見』や、『英国王のスピーチ』などに出てる女優。
レオノーラ・オランテス(学者)/マリオン・コティヤール
レオノーラはWHOに所属する疫学者。スイスから香港に出向き調査をするが、中国人研究員に拉致される。
マリオン・コティヤールは、『エディットピアフ 愛の讃歌』でアカデミー主演女優賞を獲得した女優。
『TAXI』シリーズや、バットマンの『ダークナイトライジング』でも有名。
アラン・クラムウィディ(ブロガー)/ジュード・ロウ
アランはブログのアクセスで稼ぐブロガー。サンフランシスコ住み。パンデミックに乗じてアクセスを伸ばす。
ジュード・ロウは『ガタカ』や、ソダーバーグ監督の『サイド・エフェクト』で有名な俳優。
ライル・ハガティ海軍少将/ブライアン・クランストン
ライル・ハガティは、パンデミックの責任をどうしようか検討する軍のお偉いさん。
重要人物ではないが、演じているブライアン・クランストンは、超人気海外ドラマ『ブレイキング・バッド』の主人公ウォルター・ホワイト役で有名な俳優。
2020年のシリアスドラマ『Your Honor/追い詰められた判事』で7年ぶりの主演を務めて話題になった。
『コンテイジョン』あらすじ完全ネタバレ解説
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あらすじは、わかりやすいように人物別で記載。
ミネソタ編ネタバレ/ミッチとベス夫婦+エリン
ベス(グウィネス・パルトロー)は、香港からの出張の帰りに、シカゴで元恋人のジョンと浮気をし、何食わぬ顔でミネソタの家へ戻る。
熱っぽかったベスは、家で体調が突然悪化し、痙攣を起こした。
彼女の夫・ミッチ(マット・デイモン)は彼女を病院へ運んだが、容体が急変して死亡。翌日自宅に戻ると、ベスの連れ子であるクラークも熱を出してベッドの上で冷たくなっていた。
ベスを解剖した結果、ウィルスが原因だと判明。
ミッチは病院で隔離されるが発症せず。数週間後、家に帰り、娘のジョリーと自宅で不安な日々を過ごす。
街では次第に感染者が増え始め、暴動なども起きるように。
食料不足で暴徒化した民衆によって、スーパーマーケットなどは荒廃していた。
10代のジョリーは、恋人に会えないことで青春を無駄にしたと感じている。
CDCセンターの努力によって、ワクチンが開発された。しかし、誕生日ごとに摂取の順番を決めることになり、ジョリーはあと144日自宅待機して待つことに。
ワクチンを打ち終えた半年後、ジョリーは久しぶりに彼氏と会い、家でダンスをする。
ミッチはカメラを取り出し、メモリーに入っていたベスの写真を見て涙を流す。
サンフランシスコのブロガー編ネタバレ/アラン
ブロガーのアラン(ジュード・ロウ)は、ウィルスの蔓延を好機と捉え、情報をいち早くブログで公開して莫大なアクセスを得る。
さらにアランは、自分が発症した映像をブログで公開し、レンギョウという薬で治ったと報告。彼は自分のイメージを利用したい製薬会社と手を結ぼうとしていたが、誤情報を流したということで政府機関に逮捕される。
発症の映像も、レンギョウの情報も嘘だったのだ。
しかし、彼のブログ信者が保釈金を集め、アランは釈放される。
アトランタCDCセンター編ネタバレ/エリスとアリー
エリス(ローレンス・フィッシュバーン)は、ウィルスの調査のため、部下のエリン・ミアーズ(ケイト・ウィンスレット)ミネソタ州に派遣する。
エリンは現地で、感染源の特定や発症者の病棟確保に奮闘するがウィルスに感染。ほどなくして命を落としてしまう。
エリスは、シカゴなどが封鎖されるという情報を婚約者のオーブリーに、公式発表より前に流してしまったことを、テレビ番組でアランに指摘され、軍部のお偉いさんであるライル(ブライアン・クランストン)から、政府の生贄になり責任を取れといわれる。
研究者のアリー・ヘクストール(ジェニファー・イーリー)は、コウモリの菌が豚と接触したことで、今回のウィルスが生まれたと突き止める。その後、猿を使い、ワクチンの製造に成功。ワクチンを自分に打ち、感染している父親にお見舞いに行った。
CDCセンターの人間はワクチンを優先的に配布されるが、エリスは自分のワクチンを、顔馴染みのセンターの清掃員の息子のために使う。
中国編ネタバレ/レオノーラ
レオノーラ(マリオン・コティヤール)はWHOの命を受け香港へ赴き、感染経路の特定を急ぐ。
カジノの監視カメラの映像から、ベスが人間の感染第1号だと突き止めるが、原因は特定できない。
焦る中、彼女は香港での調査を手伝ってくれているスン・フェンに誘拐されてしまう。スンはレオノーラを人質として、自分が育った村にワクチンを優先的に回すよう取り引きするつもりだった。
数十日後、レオノーラはスンの故郷の村で子どもたちに勉強を教えていた。
そんな中、WHOの職員が村人のワクチンを持ってきたので、彼女は取引場所で解放されるが、職員は中国政府の意向により、偽物のワクチンを渡したと語る。
レオノーラはワクチンが効かないことを知らせるために、スンの村へ戻る。
コンテイジョンのラスト結末ネタバレ考察!感染源はコウモリと豚
映画『コンテイジョン』のストーリーの結末は以下。
- 中国で森林開発をしている、アルダーソン社の重機が倒した木にぶら下がっていたコウモリが住処を追われバナナ園へ。
- コウモリのバナナの食べカスが豚小屋に落ち、それを食べた豚がウィルスを発現。
- その豚は出荷され、香港の一流シェフに調理される。そしてがシェフと握手したベスが感染。
『コンテイジョン』という映画は、ウィルスのパンデミックを環境問題と絡めて訴えているのだ。
人間が生活範囲を広げ森林破壊をしていくと、住処をなくした動物と人間が接触する機会が増える。
今まで森の奥にいたウィルスが、行き場を無くした動物を媒介として、豚などの家畜と接触してしまうのが問題なのだ。
それが原因で新種のウィルスが生まれてしまい、パンデミックを引き起こすという結論は素晴らしいと思った。
ちなみにオオコウモリを近くで見たことがある人ならわかると思うけど、あいつら食べてるグアバの実とかめっちゃこぼす。食べ方がめちゃくちゃ下手なのだ。
エボラ出血熱とかも原因はコウモリではないか?といわれている。
人類がウィルスによるパンデミックの危機にさらされないためには、コウモリがマナー良く食事をすることが大切なのかもしれない。
解説/あらゆる職業からパンデミックを分析した映画
『コンテイジョン』が素晴らしかったのは、あらゆる職業のあらゆる年齢の人たちがパンデミックにどう対処するか描かれていたことだ。
- 研究者はサルを何匹も犠牲にして必死にワクチン作る
- 医療関係者は必死に看病する人もいれば、ストライキする人も
- 医療関係者が感染しちゃう
- 市民は暴動起こして街は荒れ放題
- 若者たちは恋すらできなくてストレス溜めてる
大なり小なり、それぞれの立場にいる人々が様々な問題が描かれていた。
誤情報をブログに掲載するアランなど、コロナの件で起こったツイッターのデマみたいな問題を、9年前の2011年にすでに取り上げていたのも素晴らしい。
2000年代のSARSの問題とかもしっかり情報を集めて、映画の脚本に取り入れたのだろう。
監督のスティーブン・ソダーバーグや脚本のスコット・Z・バーンズはウィルス対策の専門家の意見を聞いてこの映画を作ったらしい。通りで細かい分までリアルなわけだ!
コロナ問題と絡めて何か使えそうな視点があるとすれば、女学者・レオノーラが遭遇した中国編の誘拐事件についてかもしれない。
日本では起こらないかもしれないが、ワクチンの優先順位を巡って政府関係者を脅すといった出来事が、途上国で起こる可能性は、ないとはいえない。
また、どこの国のどこの会社が開発したワクチンを世界で流用するかというのがキーポイントになるだろう。
どの企業が得をするのかという視点は持っていたほうがいいかもしれない。
ワクチンの問題について(2020/5/11追記)
ワクチンの問題について調べてみたら、コロナの場合は、ワクチンができる頃には感染者数が収束している可能性が高いので、ワクチンによる利益はとても低いと考えられているようだ。
製薬会社も資金が潤沢な超巨大企業以外は、ワクチンの製造に積極的ではないらしい。
つまり、上記で考察したような、ワクチンの企業間競争にはならない。
コンテイジョンのレオノーラみたいに、誘拐されるとかはないだろう。
コンテイジョンのレンギョウ(連翹)はどんな薬?
『コンテイジョン』ではブロガーのアランが、「新種のウィルスにレンギョウ」が効く!という嘘を広めていたというオチだったんだけど、レンギョウって何?と思った人も多いだろう。ちなみに漢字で書くと連翹。
レンギョウはモクセイ科の植物で中国原産。
漢方医学では「連翹」と呼ばれ、解熱剤、消炎剤、利尿剤、排膿剤、腫瘍・皮膚病などの鎮痛薬に用いる。成分にトリテルペン、モノテルペングリコシド、リグナンを含み、強い抗菌作用がある。
レンギョウは抗菌作用がある植物だと考えればよいだろう。
漢方薬として使われることが多く、日本では「ツムラ漢方荊芥連翹湯エキス顆粒」(ケイガイレンギョウトウ)が特に有名。この薬は鼻炎や肌の炎症を緩和させる効果を謳っている。
ウィルスが中国発祥ということで、中国の薬が効くというのはいかにも信じてしまいそう。コロナでも、薬に関していろんなデマが飛び交っているし、映画『コンテイジョン』の教訓を得て、十分注意しよう!
最後にコンテイジョン感想まとめ/これだけスター集めたなら…
コロナ流行と重なって参考になる
『コンテイジョン』はパンデミックの脅威を教えるという意味では、とても素晴らしいと思う。
コロナの流行と重なる部分も非常に多く、リアリティがある。
コロナついていろいろな情報を日々ニュースで得る中で視聴すると、コロナウィルスの死亡率がもっと高ければ、この映画のように大パニックを引き起こしていたかもしれない。そう意味では重い内容だった。
あとは、環境破壊は新ウィルスの発症という観点からもよくないとか、製薬会社は信用できないとか、社会的な問題提起もしっかりしている。
エンタメ要素はゼロ
ただ、映画好きという観点だけで好き勝手言わせて貰えば、ハリウッド・スターをこれだけ集めるなら、『コンテイジョン』じゃなくて、このキャストでもっとエンタメに振った作品を作ってほしかった。
まあ監督も演者も、社会問題に関心があって集まったのかもしれないけど、これだけスターが集まったら『オーシャンズ』シリーズみたいなエンタメ映画作って、『コンテイジョン』は、また別のキャストでやってくれよ。
ストーリーとして面白い部分は、レオノーラが村の子どもたちを見捨てられないという人情味溢れる点と、エリンの死亡シーンが切ない点と、ラストのウィルスの感染経路ネタバレシーン!くらい。
コンテイジョンは完成度は高いけど、人を選ぶ映画。
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