CineMag☆映画や海外ドラマを斬る!

新旧問わず、素晴らしい映画や海外ドラマの考察・解説・批評・感想を書いています。

『ファルコン&ウィンターソルジャー』ネタバレ感想評価・あらすじ解説/黒人差別・社会問題,日本人考察

マーベルドラマ『ファルコン&ウィンターソルジャー』ディスニープラス配信

ディスニープラスで配信中のマーベルドラマ『ファルコン&ウィンターソルジャー』は、社会問題がふんだんに盛り込まれた傑作だった。

ファルコンの空中戦などアングルがいい感じで切り替わっていく迫力のアクションもかっこよかったが、今世界で問題になっている、政治、人種差別、貧富の格差やテロなどの社会問題にある種の答えを提示するようなストーリーになっていたのが本当に素晴らしいと思った。

今作の大まかなあらすじネタバレや、

マーベルは、社会問題を作品に入れ込むのが本当にうまい!だからこれだけ世界規模のヒット作を生み出し続けられるのだと感じた。

 

ファルコン&ウィンターソルジャー/シーズン1全話ネタバレあらすじ解説

☞クリックであらすじネタバレ表示

ウィンターソルジャーの過去について

ウィンターソルジャーことバッキー・バーンズの過去を復習したい人は、

キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャーとウィンター・ソルジャーのストーリーやキャラのネタバレまとめ」←こちらの記事をご覧いただきたい。

ファルコン&ウィンターソルジャー/シーズン1全話のストーリー

アベンジャーズ/エンドゲーム』から数ヶ月後の世界。

指パッチン消えた世界の人口の半分が5年ぶりに戻ってきたことで、世界情勢や経済は大きく混乱していた。

ティーヴからキャプテン・アメリカの盾を受け取っていたファルコンは、荷が重いと考え盾を寄贈。アメリカ軍に属して各地で平和の戦いを続けている。ある日、姉家族の生活と親から譲り受けた船を守るため、銀行に融資の相談にいくが、ヒーローのはずが「5年間無収入だった」ことで断られる。

日本料理屋でヨリとご飯を食べるバッキー

かつてウィンター・ソルジャーとして暗躍したバッキーは、エンドゲームの活躍で恩赦を受け、セラピーを受けながら現実を受け入れようとしていた。馴染み日本人料理屋で隣人で友達の老人・ヨリとご飯を食べながら、彼から「息子が海外で殺された」と聞く。息子の写真を見て自分が過去に殺した人物だと知り、がくぜんとした。

バッキーは、ファルコンと会い、彼が盾を受け継がなかったことに怒りつつ、かつて超人血清を打たれて朝鮮戦争で戦った黒人元兵士イザイアのもとに連れて行く。

国のために戦ったイザイアが、超人血清の実験されて死にそうな仲間を助けるために政府に刃向かったことで30年間拘束されていたと聞き、ファルコンは大きな悲しみを覚えた。

米政府は、新しいキャプテン・アメリカに、ジョン・ウォーカーという軍人を祭り上げる。

『ファルコン&ウィンターソルジャー』の新しいキャプテン・アメリカ

そんな中、フラッグ・スマッシャーズという超人血清を打った革命集団が現れ、ファルコンやバッキーは彼らを追って戦うが逃げられてしまう。ジョンと相棒のレマー/バトルスターも参戦した。

バッキーは超人血清の出どころを知るため、刑務所にいる元ヒドラのジモ(シヴィルウォーの悪者)を脱獄させる。ジモのつてで、元SHIELDのエージェントで追われる身となっているシャロン・カーターと会う。さらに血清を作ったネイゲル博士の研究施設を突き止めるが、ジモが勝手に彼を射殺してしまった。

フラッグ・スマッシャーズの女ボス/カーリ

(カーリ↑)

その後、ファルコンとバッキーはフラッグ・スマッシャーズの女・ボスで革命家のカーリの居場所を尋ね、「人命を尊ぶ活動をしろ」と諭した。しかし、新キャプテン・アメリカのジョンたちがやってきて争いに発展してしまい、カーリたちに逃げられてしまう。

後日ジョンは、カーリのアジトからこっそり取った超人血清を打った。その後、相棒のレマーをカーリに殺されて怒り狂い、フラッグ・スマッシャーズの一人を民衆たちの前で盾を使って撲殺してしまう。

ファルコンとバッキーはジョンにキャプテン・アメリカの資格がないと考え、二人で彼を倒して盾を奪う。ジョンはキャプテン・アメリカを辞めさせられ除隊処分となった。

ファルコンは盾を受け継ぐことを決意し、猛トレーニングに励む。

そんな中、GRCという各国の首脳組織が、アメリカにいる移民を排斥する法を決議しようとしていた。カーリたちはそれを止めようと、首脳たちを拉致。

盾を受け継いだファルコン

盾を持ったファルコンとバッキー、シャロンがカーリたちを止めるために戦う。権力者ヴァレンティーナの力でUSエージェントになったジョンも戦いに参加した。

ファルコンは最後までカーリを説得しようとしたが、シャロンが彼女を射殺。

ファルコンは、テレビの前で助けた首脳たちに「カーリはテロリストではない、あなたちが生み出したのだ」言う。GRCは方針転換することにした。

ファルコンはスティーヴの意思を継ぎ、黒人のキャプテン・アメリカとなったのだ。

バッキーは、ヨリに「息子を殺したのは私だ」と打ち明け、過去と決別した。

『ファルコンアンドウィンターソルジャー』シーズン1 END!

 

ファルコン&ウィンターソルジャー感想・評価・キャスト

ファルコン&ウィンターソルジャーのメインキャスト2人

個人的には84点くらい。

予想以上のクオリティで、さすがマーベル!という印象!

本作の大きな特徴として、ドラマでなく映画を見ている印象が強かった(ぜんぜん悪いことではないが)。製作陣はあえて映画っぽい構成を採用していたようだ。

ファルコンとウィンターソルジャーがお互いをののしり合い、葛藤し、最後は協力して敵の組織と戦う展開は、メル・ギブソン主演『リーサル・ウエポン』に近いバディ映画の構成である。

アクションシーンも素晴らしく、特にアングルがいいタイミングで切り替わるファルコンの空中戦はカッコ良かった。

詳しくは後述するが、シーズン1のストーリーで昨今の社会問題への疑問や答えを出していたのも素晴らしい。

ファルコン/アンソニー・マッキー

ファルコン/アンソニー・マッキー

ファルコンは典型的な“葛藤者”の主人公という感じだったが、俳優のアンソニー・マッキーは表情などで上手く演じていて、感情移入できた。

体型もかっこいいし運動神経も抜群で、トレーニングシーンも見応えがあり、映画『ロッキー』のようなカタルシスを得られてたのも良かった。

これまでファルコンというキャラに思い入れはなかったが、今作で好きになれた。

アンソニー・マッキーについては、Netflix『デンジャー・ゾーン/Outside The Wire』を見て、彼のキャリアは大丈夫か?と思ったが、今回の『ファルコン&ウィンターソルジャー』が傑作だったので、まったく問題はないだろう。

ウィンター・ソルジャー/セバスチャン・スタン

ウィンター・ソルジャーを演じたセバスチャン・スタン

今作では、特にバッキー・バーンズ(ウィンター・ソルジャー)の役どころがとても興味深い。

洗脳されて暗殺を繰り返したウィンター・ソルジャー時代のトラウマにさいなまれ、日本人おじいちゃんで親友・ヨリの息子を殺した過去に葛藤する。

その一方で、飛行機から落ちてファルコンに笑われる、おじいちゃんヨリに年寄りとバカにされる、日系女性・リーといきなりデートするハメになる、などコミカルなシーンもとても多いのだ。

つまり、トラウマと悲惨な過去を抱え、2枚目と3枚目の中間を演じている。複雑な役どころだったのだ。

バッキー役のセバスチャン・スタンNetflix『悪魔はいつもそこに』などで太った警官を演じていて、こちらもコミカルさとシリアスさをあわせ持った味のあるキャラクターだった。

こういう複雑なキャラを演じられるセバスチャンは本当にすごいと思う。

ファルコン&ウィンターソルジャーで扱われた社会問題

キャプテン・アメリカとなったファルコン

マーベルは、現実の社会問題を映画やドラマに入れるのが本当に上手いと思う。

『ファルコン&ウィンターソルジャー』の主なテーマは、キャプテン・アメリカの継承と過去への償いだが、社会問題がかなり詰め込まれていて、それが上手く機能していた。

主に描かれていたのは、黒人差別、貧富の格差、政治、憎しみや復讐の4つだ。

黒人差別については、黒人の超人として活躍したが政府によって存在を消されたイザイアの苦悩が、ありありと語られていた。

さらに黒人のファルコンが白いスーツを来て盾を持ち、キャプテン・アメリカを継承する。“黒人がアメリカのヒーローの象徴”というのは、フィクションとはいえかなり攻めているし、それ自体が人種差別の問題の問いかけになっていて素晴らしいと思った。

次は貧富の格差について。カーリは難民キャンプ出身で、人口5年ぶりに倍増の世界情勢悪化の影響を最も受けた側の人物だ。だからってテロ行為が許される訳ではないが、世界を混乱させている組織GRCに怒りを覚えるのは当然だろう。

さらにヴィランポジションであるカーリが貧困層出身で、どこにでもいそうな若い女というのも特徴で、これもメッセージ性が強い。

(カーリ↓)

『ファルコン&ウィンターソルジャー』メインヴィランのカーリ

政治にも関連するが、最後にキャプテンアメリカが「彼女はテロリストではない」とテレビの前で断言していたのも、テロと戦うのが本当に正しいのか?というアメリカへの疑問を直球で投げているようで考えさせられた。

追加すると、新キャプテン・アメリカとなったジョン・ウォーカーが、星条旗を模した盾で撲殺したシーンも、アメリカの政治や軍隊のあり方に疑問を呈しているとも取れる。

日本でいえば、自衛隊員が日の丸の旗で殺人を犯した”に近いシーンなので、そう考えるとかなり物議をかもす内容だとわかるだろう。

マーベルはそれをやっちゃうのがすごい。自国への風刺が強烈だ。

『アイアンマン』(2008)年でも、武器を売る側のトニー・スタークがテロリストに捕まって軍需産業について深く悩む社会的なテーマがしっかり盛り込まれており、これがマーベルが世界的にヒットする大きな要因だろう。

憎しみや復讐については、バッキーがヨリに自分が息子を殺したと打ち明け、後日、日本料理屋から立ち去る場面で終わった。明確な答えはないものの、ヨリはバッキーに復讐するでもなく、バッキーは過去から立ち直れたので、憎しみの連鎖から抜け出す1つのパターンを提示したとも言えるだろう。

なぜバッキーは日本料理屋の馴染みに?

日本料理屋でご飯を食べるバッキーバーンズ

なぜバッキーが日本料理屋の馴染み客になっているのか考えると、彼の世界観がよりいっそう広がる。

大きな理由は、過去に日本人(ヨリの息子)を殺してしまった贖罪の念だろう。殺した日本人のことが頭にこべりついており、日本料理屋におもむくとその父親・ヨリに会ってしまうという運命の皮肉

あと、推測になるがバッキーが日本料理に思い入れがあった可能性もある。第二次世界大戦前に特殊任務か何かで日本に来ていて、そのときの出来事や記憶、日本料理の味が忘れられないのかもしれない。

ディティールまでクオリティが高く、視聴者が深く感傷に浸る余地を残しているのもマーベルの素晴らしいところだ。