ジャック・ニコルソン、ヒース・レジャー、ホアキン・フェニックスなど、名だたるレジェンド俳優たちが映画のスクリーンで演じてきたジョーカー (Joker)。
ジョーカーを演じた俳優別で比較してみると、キャラクターの容姿や性格、役作りに大きな違いがあってとても面白い!
映画やドラマの実写版のジョーカー俳優を写真付きで年代順に並べ、その特徴やトリビアまで徹底解説・考察してみたのでお楽しみください!
DCの最凶ヴィラン・ジョーカーと演じた俳優たちを100%知ろう!
- ジョーカーのキャラクター解説!
- ジョーカーにはモデルがいた!
- 「シーザー・ロメロ」初代ジョーカー俳優
- 「ジャック・ニコルソン」狂気のパーティーマン
- 純粋悪の哲学者「ヒース・レジャー」
- 「ジャレッド・レト」ロックスター
- 「キャメロン・モナハン」壊れた元人間
- 「ホアキン・フェニックス」障害から悪への羽化
- 歴代ジョーカー俳優の解説・考察まとめ!
ジョーカーのキャラクター解説!
ジョーカーは、バットマンの漫画や映画に登場するヴィラン(悪役)で、真っ白な肌、緑色の髪の毛、紫のスーツ、そして横に大きく裂けたような口が特徴。
ジョーカーの初登場は、DCコミックの『Batman #1(1940年)』。
2020年には生誕80年になる、歴史あるキャラクターなのだ。
ジョーカーは特殊能力を持っておらず、戦闘能力は決して高くない。しかし、サイコパスな性格のイカれた知能犯で、ゴッサムの住民を混乱におとしいれては楽しんでいる。
ジョーカーというキャラクターのファンは世界中にいて、映画化の際は毎回どの役者が演じるかが超ビッグな話題になる。
アメコミ史上一番人気のあるヴィランといっても過言ではないだろう。
ジョーカーにはモデルがいた!
ジョーカーというキャラには、実はモデルがいる。サイレント映画『笑う男』の主人公グウィンプレンだ(演:コンラート・ファイト)。
笑う男が孕(はら)んでいる狂気は実写版ジョーカーの元祖といわれて納得できるほど強烈。ジョーカーはコミックスになる前にすでに完成していたのだ。
この奇異な笑う男の風貌からジョーカーが生まれたのは納得!
『笑う男』はヴィクトル・ユーゴー原作小説を1928年に映画化したもの。ジョーカーの原点がレ・ミゼラブルの原作者だという事実は興味深い。
それではさっそく、歴代の実写版ジョーカー俳優と、特徴をみていこう。
「シーザー・ロメロ」初代ジョーカー俳優
初の実写版ジョーカー俳優はシーザー・ロメロ。1966〜1968年のTVシリーズ『怪鳥人間バットマン』に登場する。
シーザー・ロメロがジョーカーを演じた年齢は59歳前後。
コメディ色が強いジョーカーだが、後世に与えた影響は非常に大きい。
俳優シーザー・ロメロは1994年に86歳で肺炎により死亡。
ビジュアル面や役作りの特徴
シーザー・ロメロがヒゲを剃るのを嫌がったため、鼻の下に口ヒゲがうっすら見えるときがある。
悪事
コメディ路線なので、バットガールを縛って庭に放置したりと“イタズラ”っぽいことばかり。
ペンギン、キャットウーマン、リドラーと共に、「ユナイテッドアンダーワールド」というスーパーヴィラン軍団を結成。
思考と行動
楽しければなんでもOK!
「ジャック・ニコルソン」狂気のパーティーマン
登場:「バットマン(1989年)」
コミカルな風貌だが、笑いの裏にある絶望や狂気は計り知れない。憎悪を笑いに変換したようなジャックジョーカー。
ゴッサムマフィアの始末屋ジャック・ネーピアが、バットマンとの戦いで顔に銃弾を受け、薬品タンクに落ちてジョーカーになった。
遊んでいるように見えるが、やろうとしていることは毒による大量無差別殺人なので、歴代ジョーカーの中でも一番たちが悪いといえるだろう。
ジャック・ニコルソンジョーカーの彼女は、マフィアのボスから寝とったアリシアという女性。
ちなみにジャック・ニコルソンがジョーカーを演じた年齢は52歳。
ジャック・ニコルソンジョーカーのビジュアルの特徴
ジャック・ニコルソンジョーカーは顔に受けた銃弾の治療のあとで、大きく裂けたようになってしまった口が特徴。
薬品で肌が白くなっているので、公の場に出るときはハダ色に化粧する。
ジャックジョーカーの行動や悪事
・スマイレックスという有毒成分を市販の化粧品などの製造経路に混ぜる
・金をバラまいて市民をおびき寄せ、気球から毒薬を散布
・恋人のアリシアの顔を、作品として醜くただれさせる
・ヴィッキーが撮った死体の写真をアートだと絶賛
思考タイプ=破滅型
顔を銃で撃たれ、薬品タンクに落ちた後、自らの姿を見て絶望し気が狂った。
身の危険に繋がるような行動も平気でする。
ジャック・ニコルソンジョーカーの思考タイプは、芸術家的な破滅型だといえるだろう。
ジャックジョーカーの至高の名言
「Have you ever dance with the devil in the pale moonlight?」
ジャック・ニコルソンのジョーカーの名ゼリフといえばこれ!
和訳すると「月夜に悪魔と踊ったことはあるか?」
美しく詩的だ。やはり芸術家タイプ!
ジャック・ニコルソンジョーカーのトリビア
ジョーカー生誕劇は、ホアキン・フェニックス主演の『Joker』が最初だと思われがちだが、元祖はジャック・ニコルソン。
ゴッサムを牛耳るマフィアの殺し屋ジャック・ネーピアがジョーカーに変貌する過程が楽しめる。
純粋悪の哲学者「ヒース・レジャー」
登場:「ダークナイト(2008年)」
ジョーカーといえば、まっさきにヒース・レジャー版が思い浮かぶのではないか。それくらい絶大な支持を得ている。
ヒースがジョーカーを演じた年齢は28歳前後。若い。
鼻にかかった低い声で、相手の思想や信念を崩していくやり方は圧巻。
No.1ジョーカーかどうかという議論はさておき、少なくてもビジュアル面では一番クールだろう。
ちなみにヒース・レジャージョーカーに特定の彼女がいる様子はない。
俳優のヒース・レジャーは『ダークナイト』のジョーカー役で、第81回アカデミー賞で助演男優賞を受賞。
ヒース・レジャージョーカーのビジュアル面や役作りの特徴
薬品により肌が白くなったという設定はなく、自分の指を使って化粧している(ヒース・レジャーが自分で化粧をほどこしている)。 目の周りを黒く塗り、眼球の動きがわかりにくいことが、穴に吸い込まれるような、得体のしれない恐怖感につながっている。
ヒースジョーカーの行動や悪事
- レイチェル(ブルースの元カノ)を爆破で殺害
- ハービー・デントを悪に染める
- 病院爆破
- 大型フェリー爆破実験
思考タイプ=哲学者
「人間の本質が悪だということを認めさせたい」ヒースジョーカーの思想は、シンプルなこの一言に尽きる。具体的な目標はないが、人間の存在意義を根底からひっくり返したいのだ。
ヒースジョーカーの名ゼリフ
「Why so serious?」
ダークナイトのヒースジョーカーの名ゼリフといえばコレ。
和訳すると「そんな真剣に考えんなよ」といったところ。
世の中に価値あるものなんか何もないということだろう。実に彼らしいセリフだ。
役づくりやビジュアルの参考にしたキャラ
- シーザー・ロメロのジョーカー
- 時計じかけのオレンジのアレックス
- セックス・ピストルズ(バンド)のジョニー・ロットン
ヒースジョーカーのトリビア
*役者のヒースは精神異常者の専門書を読み漁り、サイコパスになりきった。
ヒース・レジャーは2008年1月22日に死亡。自宅アパートで全裸遺体で発見された。死因は睡眠薬の過剰摂取、不眠症、そこにインフルエンザの発症が重なったこと。
ジョーカーとして日記をつけるなど、役作りにのめり込みすぎたのが不眠症の原因になったといわれている。
一方で、ヒース・レジャーの家族の話では、ジョーカー役で精神をむしばまれていたということはなく、楽しんで演じていたらしい。
続編のダークナイト ライジングにもジョーカーとして出演予定だったが、ヒースの急死により実現せず。
映画『ダークナイト』を無料視聴する方法
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「ジャレッド・レト」ロックスター
ジャレッド・レトがジョーカーを演じたのは43歳前後。
登場は「スーサイド・スクワッド(2016)」で、メインキャラ扱いではない。
ジャレッド・レトジョーカーの彼女は、ハーレイ・クイン(マーゴット・ロビー)。スピンオフである『ハーレイクイン 華麗なる覚醒』ではジョーカーがハーレイ・クインを振る。
レト版ジョーカーのビジュアル面の特徴
全身タトゥー。光沢感(テカテカ)。銀歯。
行動や悪事
クラブ経営。殺人。刑務所破壊。
思考タイプ=ロックスター
ハーレイ・クインを追いかけ、薬品にダイブする姿から、ロックスター的なナルシズムが垣間見える。
ヴィランでなくロックスターっぽく見えてしまうのは、演じるジャレッド・レトが、ミュージシャンとしても活動していることが関係しているのかもしれない。ちなみにバンド名は「Thirty Seconds to Mars(サーティー・セカンズ・トゥー・マーズ)」
ジャレッド・レトジョーカーのトリビア
役者のジャレッド・レトはジョーカーになりきるため、精神異常者や犯罪者たちと面会した。
共演者に異常性と本気度を見せつけるため、ハーレイ・クインを演じたマーゴット・ロビーらにアダルトグッズや動物の死体を送りつけた。
単独映画が作れるほどの撮影時間だったが、スーサイド・スクワッドでは出演シーンが10分ほどに大幅カットされた。
ホアキン・フェニックス主演の映画『Joker』の制作を邪魔しようとしたという噂がある。
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「キャメロン・モナハン」壊れた元人間
登場:ドラマ『GOTHAM/ゴッサム(2014〜)』
キャメロン・モナハンがジョーカーを演じた年齢は26歳。
双子のヴァレスカ兄弟のジェロームの方は、一旦死んでから顔を剥がされホッチキスで留められて蘇生。最終シーズンでは薬品タンクに落とされた弟のジェレマイアが、造形のグロテスク度はNo.1ジョーカーとなる。
双子の狂気が化学反応を起こしてジョーカーが誕生したという見方ができるだろう。
モナハンジョーカーのビジュアル面の特徴
ジェロームの方は、一旦顔を剥がされ、そのあと医療用のホッチキスで留め直したので、ツギハギ感がある。
ジェレマイアは薬品漬けになり、腐りかけのフランケンシュタインのようだ。
思考と行動=復讐者
虐待や家庭崩壊、肉親間の争いを経て、このジョーカーは復讐者となった。
「ホアキン・フェニックス」障害から悪への羽化
このラストシーンは怖すぎて、直視できない。
登場:2019年 映画「Joker(ジョーカー)」
ホアキン・フェニックスがジョーカーを演じたのは44歳前後。
虚実入り乱れたホアキンのジョーカー。脳障害からくる無垢なままの衝動が、そのまま狂気に変わってしまった。ラストの暴徒に向かって立ち上がるシーンは圧巻。人が直視してはいけないモノをみてしまったような気さえする。
ホアキン・フェニックスジョーカーの彼女はソフィーという同じアパートに住む女性(幻覚だった)。
俳優のホアキン・フェニックスはこのジョーカー役で、第92回アカデミー賞で主演男優賞を受賞。ヒース・レジャーのジョーカーに続く快挙を成し遂げた。
ホアキンジョーカーのビジュアル面の特徴
コミック版のジョーカーと趣を異にしたピエロのメイクとなっている。ヒース・レジャーとは大分違うが、同じ長髪のジョーカーとして括ることができる。
行動や悪事
- 証券マン3人を銃で殺害
- 養母を殺害
- TV司会者のマーレイを番組中射殺
- カウンセラー殺害
思考タイプ=衝動的
脳の機能障害だからか、理由を深く考えている様子はない。起きた出来事に悲しみ、衝動的に行動しているようだ。そこに、思考を超えた不条理が垣間見える。無垢な衝動が美しさになっているから面白い。
ホアキンは「彼(アーサー)は社会で見過ごされた存在ではあるが、同時に嫌悪するべき点もあり、とても複雑な感情を抱かせるキャラクター」だと語っている。
ホアキンジョーカーの名言
I used to think that my life was a tragedy, but now I realize it’s a comedy.
和訳すると「俺の人生は悲劇だと思っていた。だが喜劇だったと悟ったよ」
『Joker(2019)』という映画の本質を表している。悪へ羽化した瞬間だろう。
役作りの参考にしたキャラ
『タクシー・ドライバー』のトラヴィス・ビックル
悪ではない人間が狂気を帯びていくというジョーカーの変貌ぶりは、マーティン・スコセッシ監督の「タクシー・ドライバー」のトラヴィス(ロバート・デ・ニーロ)が元になっている。
ただ、ホアキンが参考にしたのはほんの少しだろう。
『キング・オブ・コメディ』のルパート・パプキン
こちらもスコセッシ監督とロバート・デ・ニーロの作品。 デ・ニーロ演じるルパート・パプキンは、妄想癖に取り憑かれてしまったコメディアン志望の中年。
この設定を膨らませてオリジナリティを加えたのがホアキンのジョーカーだと言われている。
また、『キング・オブ・コメディ』は映画『Joker』のストーリーのモチーフにもなっている(監督トッド・フィリップス談)。
ちなみにホアキンは、ジャック・ニコルソンやヒース・レジャーなど、過去の実写版ジョーカーについては役作りの参考にしなかったという。理由は、ジョーカーというキャラクターに固定観念を持つのはよくないと考えたため。
ホアキンジョーカーのトリビア
駅で証券マン3人を殺して逃げたあとにトイレで踊ったのは俳優ホアキン・フェニックスのアドリブによるもの。
監督のトッド・フィリップスは、このホアキンの異様なダンスに衝撃を受け、シーンの採用を即決したのだという。
ホアキンはジョーカー役を演じたことを、俳優人生で一番楽しかったと語っている。
ホアキン・フェニックス逮捕と彼の主張
俳優のホアキン・フェニックスはプライベートでも世間を騒がせることが多い。
2020年1月10日、ホアキンは気候変動に対する警鐘を政治家たちに訴える抗議のデモに参加。
アメリカ合衆国議会議事堂前の階段を占拠したとして逮捕された(他にも147名が逮捕されている)。
そして、数日後に釈放されている。
ホアキン・フェニックスの主張は、「畜産業が温暖化などの気候変動に影響を与えているから規制しろ!」というもの。
牛などの家畜のゲップやオナラは大量のメタンガスを発生し、温暖化の原因として問題視されている。
ジョーカーというサイコパスを演じながらも、地球の環境のことを考える、振り幅の広い役者だとわかった。
歴代ジョーカー俳優の解説・考察まとめ!
歴代ジョーカー俳優のビジュアルや狂気の名演を徹底解説してきた。
ジャック・ニコルソン、ヒース・レジャー、ホアキン・フェニックスなど、どのジョーカーも唯一無二の魅力を放っており、映画史に残る存在だとご理解いただけたことだろう。
ジョーカーは演じる役者でまったくその姿や個性を変える。
次は誰がジョーカーを演じるのか?そしてどんな新たなジョーカーが誕生するのだろうか?
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