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Netflix『ジュピターズ・レガシー』全話あらすじネタバレ解説・感想は最高!ヒーロー世代間のダークな葛藤考察・評価

Netflix『ジュピターズ・レガシー』

Netflixドラマ『ジュピターズ・レガシー』シーズン1全話視聴。おじさんヒーローモノ?と思ったら、ヒーローアクションはありつつ、メッセージ性の深いダークなヒューマンドラマだったのでびっくりした。

シーズン1全8話分のストーリーあらすじを過去編と未来編に分けてわかりやすくネタバレ解説。

ストーリーの細かい疑問、感想や評価、今までのヒーローモノと一線を画すようなメッセージ性について深掘り考察しています。

 

スタッフとキャスト

ネトフリ『ジュピターズ・レガシー』スタッフ・キャスト

監督:シャーロット・ブランドストーム

脚本:スティーヴン・S・デナイト

原作:マーク・ミラー

主演:ジョシュ・デュアメル/シェル役

出演:ベン・ダニエルズ/ウォルト役

Netflix『ジュピターズ・レガシー』ぶっちゃけ感想・評価

Netflix『ジュピターズ・レガシー』主人公シェル(ユートピアン)

個人的な評価は87点

おっさんたちが主役のシュールなヒーロードラマかと思いきや、ヒューマンドラマ要素もかなり強く、メッセージ性も深い傑作だった。戦闘シーンも迫力があり、映像もかなり綺麗で見応えがある。

ヒーローの親子の意見の相違にスポットを当てるだけでなく、アメリカが今抱える世代間や考え方の分断のような、答えのない大きなテーマを扱っていた点も素晴らしい

『ジュピターズ・レガシー』ネタバレ考察/シリアスな社会問題を投影

Netflix『ジュピターズ・レガシー』主要ヒーローと記者やデモ抗議者

ドラマ『ジュピターズ・レガシー』で扱う社会問題はかなりシリアスかつリアリティのある内容で、大まかに言えば“正しいことをすればみんなが幸せになる時代が終わった”ことへの葛藤が描かれている。

それぞれの登場人物が、これらについての葛藤を深く持っているのだ。

年配ヒーローのシェルは、敵がヴィランではなく政治や思想という複雑で対処のしようがないものに変化したと悩む。妻グレースは、自分の子供の年齢の“良い子ちゃん”的ヒーローがコードを守って死んでいく現実に失望している。

敵を殺せない決まり事・コードのデメリットについて具体的に説明すると、相手を殺すつもりでなく加減して戦うと、自分や仲間が死んでしまう危険が高くなるということ。

昔は良かったかもしれないが、敵が強く、容赦無く強大になるにつれてコード(規律)の意義が薄れてしまうのだ。ヒーローが負けてしまったら、コードなんかなんの意味もなくなってしまうのだから。

これはアメリカの銃社会の問題や、警察が黒人を殺してしまう問題を色濃く反映しているといえるだろう。

『ジュピターズ・レガシー』のドラマ内でも言及されていたが、アメリカの警官は発砲許可があり、任務中の殺人は罪に問えないケースが多い。

これは問題になっているが、当の警官たちからすれば死と隣り合わせの任務で、躊躇っていたら本当に自分や同僚が死ぬ危険もある。これはヒーローも同じだ。

答えのない

ジュピターズ・レガシー斬新な設定や特徴:グロくて内容も大人向け

ジュピターズ・レガシーのセクシーなビッチヒロイン・クロエ

『ジュピターズ・レガシー』内容はかなりダークで、戦闘シーンも頭に穴が開いたりと18禁のグロいシーンが多い。ヒーローの若い世代が進む道を見出せず、年配世代より先に死んでいくシリアスな展開も特徴だ。

あとは、まっ裸のシーンこそないもののベッドシーンがヒーローモノにしてはかなり多い。ヒロインポジションのクロエが完全なビッチでドラッグ・ジャンキーなのも面白い設定だ(ヒロインがビッチというのは漫画『ビースターズ』と似てる)。

過去編では、シェルの前に頭の崩れた父親の幻影が出てくるのもグロくてインパクトがあった。「父はなぜシェルにささやいてたの?」と疑問に感じるかもしれないが、父の幻影はヒーローにパワーを与えた島が送り込んだもので、彼の父が言う間違った言動にシェルが惑わされないかのテストだったと考えられる。

過去編と未来編を交互に見せるのは『LOST』『ウエストワールド』などなど、たくさんの海外ドラマでよくある手法だけど、『ジュピターズ・レガシー』は過去と現在を交互に切り替えながら、過去編がダークでサイコなアドベンチャー風現代編はヒーローの世代間の葛藤を描いていて社会派ドラマ風と、あえて違うジャンルにしていた印象を受けた。その点も全8話飽きずに一気に見られる大きな理由だろう。

過去編では会社を経営して資本主義の中心にいたシェルが、現在では田舎で暮らす年老いたヒーローになっているのも興味深い。この大きなステータス変更は、意外性を持たせる意味もあったのかもしれない!

ほかに面白いのが、1929年当時にシェルたちがすでに30代中盤の中年だったこと。年齢的には120歳くらいになるのだろうか。

世界恐慌・第二次世界大戦を経験したシェルたちを親世代にすることで、幅広い視聴者層が自分ごととして捉えられるということもある。

さらに、世代を1900年代と2000年代で大きく区切ったことでそれぞれの信念のぶつかり合いがよりダイナミックになるという意義もあると感じた。

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『ジュピターズ・レガシー』全8話あらすじネタバレ解説

過去編1:1929年世界大恐慌

世界恐慌でビジネスが転覆したシェルと親友ジョージ

シェルドン・サンプソン(シェル)は、父が鉄鋼業で資本主義の象徴であり、その息子として経営を手伝っていた。

兄・ウォルター(ウォルト)が世界経済を懸念して父とシェルの事業拡大に反対するが、シェルたちは決行。すぐに世界大恐慌が起き、株価は暴落して会社は倒産寸前。従業員も解雇せざるを得なくなった。

シェルの父は屋上から飛び降り自殺。シェルはそれを止められなかったことで悔やみ、父の幻影を見てそれと喋るようになる。シェルの頭の中には3枚羽の風車や座標などの映像が浮かんでくるようになり、それらを描きとめる。親友のジョージはそれを見て、ただ気が狂ったわけではなく、何らかの啓示を受けたかもしれないと考えた。

シェルはカンザス州まで一人放浪し、ミラー牧場という場所にヴィジョンに出てきた風車小屋を見つける。家の中に入ると、主が昔大西洋で船が嵐に遭い、自分一人だけ助かったが“声”を聞くようになったと語る。シェルの側にいる父の姿も見えているようだ。彼は、「見られている」といい自殺。

シェルは地下室を見つけて降りると大西洋の座標を発見。さらに兄・ウォルト、親友・ジョージ、女性新聞記者グレース、黒人青年フィッツなど6人がテーブルについているヴィジョンを見た。

過去編2:6人のヒーロー誕生

Netflix『ジュピターズ・レガシー』船で冒険するヒーローになる6人のキャラクター

シェル(婚約者と別れた)から大西洋の座標の話を聞いたジョージは、ウォルトを説得し、記者グレースやフィッツ(元シェルの会社の従業員)を仕事だといって誘って、5人で旅に出る。

座標の海洋では船が8隻も行方不明になっているらしい。ウォルトはボルジェス船長に大金を払い、5人で船に乗り込んだ。

途中嵐になり、赤十字の船が沈んで漂っていたリチャード・コンラッドという人物を海で見つけ引き上げる。彼はシェルの見たヴィジョンの6人目だった。

港に戻ると言う船長とシェルの間で口論になるが、間も無く雨が止んで先方に巨大な島が出現。

シェルたち6人は島へ到着し、険しい自然を進んでいく。戻ろうとすると木が生えてきて行手を塞がれた。

一同は山の先にある砂漠を越え、さらに中心へ進む。すると巨大な壁が出てきて閉じ込められた。もうおしまいだと考え、みんなパニックになって争い出すが、グレースが、争って死んだような白骨死体を見つけ、喧嘩をやめさせる。

シェルとジョージが壁に手をかざすと、一面に光が出現。グレースやコンラッドも手をかざして鮮やかな色の光が発言するが、ウォルトがかざすと消えてしまう。シェルは、ジョージにウォルトとのわだかまりを許すように言った。するとウォルトが触った部分も光る。

壁は開き、奥に巨大な光の渦が出現。6人の前にそれぞれが大切に思っていた故人が現れる。6人はスーパーヒーローになる資格を得たのだ。

パワーを得た6人はアメリカの平和のために活躍し、ジャスティス・ユニオンというヒーロー協会を立ち上げた。

ヒーローとなったシェルやジョージ、グレース,

現在編1:新世代との禍根・コード

すっかり年老いたヒーローになったシェルやグレース、ウォルトNetflix『ジュピターズ・レガシー』

シェルたちがヒーローとして活躍し始めたから、実に90年が経過していた。

シェルはスーパーヒーロー・ユートピアンとして人々に尊敬されていたが、体はボロボロで、髪はすっかり白くなている。グレースと結婚して子供が2人おり、息子のブランドンはパラゴンというヒーローだが半人前。娘のクロエは、ビッチのドラッグ漬けモデルに成り果てていた。

シェルはヒーローの掟というべきコード「統治はしない。敵であっても殺さない」を定め、ジャスティス・ユニオンに所属する若いヒーローたちに頑なに守らせていた。

そんな中、ヴィラン・ブラックスターが現れ、全員で向かっていく。しかし強大な核パワーの前に、ブランドンの親友ヒーロー・バリーたちが殺されてしまった。

シェルも殺されそうになり、ブランドンは怒りで真のパワーを発揮してブラックスターの頭を殴って、一撃で頭部を潰して殺した。

シェルは“殺さない”というコードを破ったブランドンを責める。しかしアメリカの世論の78%は、ブランドンの敵を殺す行為を支持していた。

ブランや若い世代のヒーローたちは、コードを守るべきか深く悩む。

現在編2:真のヴィランの正体

ブランドンが殺したブラックスターは実はクローンだったとわかり、本物は刑務所にちゃんと収監されていた。シェルたちは、裏切ってスーパーヴィランとなった、かつての親友・ジョージの企みだと考える。

一方、ジョージの息子で大きなスーパーパワーを持たないハッチは、思った通りの場所へ空間移動できるクォンタム・モジュラーを使って盗みを働いていた。彼はクロエと偶然会って、その後彼女がドラッグオーバードーズで部屋で死にかけていたのを救って恋仲になる。

ハッチはクロエのサポートで中国深圳からパワーロッドを盗み出していた。消息不明の父・ジョージを探すためだった。

そんな中、ブラックスターの関係者バリオンが暴れ、コードを守って戦った若い女性ヒーロージャンナが死んでしまう。グレースはバリオンを倒すが、コードへの疑問が膨らんでいった。

相手の脳内に入り込めるウォルトが同じ能力を持つ娘・ライコウを呼び、崩れたブラックスターのクローンの脳の中に入り込む。そこでウォルトはヴィラン・スカイフォックス(ジョージ)を見つけて戦うが、意識が分断されそうになる。グレースも意識に侵入し、二人はどうにか意識を戻すことに成功。

ウォルトは、スカイフォックスにシェルとブランドンが死んでいるヴィジョンを見せられたと話す。

一方、刑務所ではブラックスターが脱獄し、ブランドンに倒される。ブランドンはかろうじて怒りを抑え、彼を殺さなかった。

ウォルトの前に娘・ライコウが現れ、ウォルトがブラックスターのクローンを作り、ジョージのせいに見せかけたと追及する。

ウォルトは、「シェルのやり方は古いから、誰かが根本から変えなければならない」と言った。攻撃してくる娘・ライコウの首をナイフで切って殺害する。

Netflixオリジナルドラマ『ジュピターズ・レガシー』END!

Netflix『ジュピターズ・レガシー』解説・感想まとめ

ヒーローの世代間の思想の問題や、ファミリーの問題、複雑化した社会への対処など、大人が見応えのあるテーマが凝縮されたNetflixドラマ『ジュピターズ・レガシー』。

まったく子供向けではなく、大人が楽しめる新しいタイプの傑作ヒーロードラマとなった。

この完成度ならシーズン2も出来そうなので楽しみだ。次は、ヒーローたちがなんらかの答えを出す展開を期待したい!

『ジュピターズ・レガシー』感想・解説ネタバレ終わり。

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