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Netflix映画『プライムタイム』感想,ネタバレあらすじ評価!TV局に立てこもるだけのひどいポーランドの駄作?

ポーランド映画『プライムタイム』

ポーランド映画『プライムタイム』(Prime Time)は、銃を持った青年がTV局に立てこもり生放送させろ!と要求する異色のサスペンス+ヒューマンドラマ

社会的弱者のどうしようもない怒りなどメッセージ性は強いものの、ストーリー的にはイマイチでした。

  • ネタバレあらすじ
  • 感想・評価レビュー
  • 主人公セバスティアンと人質グジェゴシュの共通点

などを深掘り考察しています。

 

Netflix映画『プライムタイム』作品情報

youtu.be

公開・制作国:2021年6月30日Netflix・ポーランド

監督:ヤクブ・ピョンテク

脚本:ヤクブ・ピョンテク/ウカシュ・チャプスキ

主演:バルトシュ・ビィエレニア/セバスティアン役

出演:マグダレナ・ポプワフスカ/キャスターのミラ役

出演:アンジェイ・クアク/警備員グジェゴシュ役

主演のバルトシュ・ビィエレニアはNetflixのポーランドドラマ『1983』にも出演。

映画『プライムタイム』ネタバレあらすじ

映画プライムタイム、銃を持ったセバスティアンと警備員グジェゴシュ

1999年12月31日。

大学の工学科を中退したセバスティアンは、銃を持ってTV局の警備員グジェゴシュを脅し、彼を連れて女性キャスターミラが生放送しようとしている局のスタジオに侵入。

セバスティアンは生放送させろ!と要求します。

しかし警察がやってきて、なかなか要求通りに進みません。

セバスティアンの父・ダヴィドが上階のモニタールームに来ます。

しかし「最初のパンケーキ(子供)は失敗作だった。刑務所へ入れ」と怒りました。

人質のグジェゴシュがダヴィドに「黙れ!」と言います。

セバスティアンは泣きました。彼には半年間離さず、断綴性言語(途切れ途切れにしか話せない)だった過去があったのです。

特殊部隊が突入しようとしますが、セバスティアンは爆弾がある!と言います。

建物からみんな避難してしまいました。

セバスティアンはマリファナを出し、グジェゴシュやミラと回して吸います。

生放送の許可を誰もできないことに業を煮やした人質のミラは、他局に電話して中継してくれと頼みます。

そのやりとりを見たコステツキ局長は、仕方なく生放送の準備をさせました。

新年の大統領演説が終わり、セバスティアンの生放送が始まります。

しかし、モニターを見ていたグジェゴシュは「生放送されていない」とセバスティアンに伝えました。

セバスティアンは怒ってミラに銃を向けます。

警察が照明を落としました。

ドアを開けて逃げようとしたミラにセバスティアンが突進。

ドアに挟まれたミラは腕を開放骨折して泣きます。

警察の責任者がやってきてミラだけ解放してほしいと言います。セバスティアンは了承しました。

セバスティアンはグジェゴシュも解放します。

TV局のスタッフは、セバスティアンの声明を録画してプライムタイムという番組で流すと交渉。

セバスティアンはうなずいて、用意していたメモを燃やしました。

そして撮影カメラの前で自らに銃を構えて引き金を引きます。弾倉は空でした。

グジェゴシュが解放されたことを知り、特殊部隊がスタジオへ突入。

セバスティアンは暴行されて逮捕されました。

夜道でグジェゴシュは呆然と立ち尽くしています。

Netflix映画『プライムタイム』END!

 

『プライムタイム』感想・評価レビュー

映画『プライムタイム』ポーランド作品

映画『プライムタイム』の評価は70点。

メッセージ性が非常に強い作品!というのを通り越して、メッセージ性以外はストーリーすら排除してしまった感があります。

物語としては、主人公セバスティアンがTV局で立てこもって警察と交渉し、最後に捕まるだけですからね。

駄作ではないですが、正直面白いかと言われると微妙です。

エンタメが好きな人なら絶対に好きになれないタイプの映画でしょう。

デ・ニーロの映画『キング・オブ・コメディ』的な感じかと思ったら全然違いました。

ワンシュチュエーション映画としても『オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分』のように計算された感じは受けません。

大きな見どころも見当たらず、強いていうなら女性キャスターミラが骨折したところくらいでしょうか。

よくよく考えると背後にセバスティアンという若者の葛藤や、彼が置かれた社会的状況がしっかり浮かび上がってくるのですが、それを加味してもちょっと退屈でした。

セバスティアンとパンケーキ,警備員グジェゴシュ

父親からパンケーキと呼ばれたセバスティアン

映画『プライムタイム』が何を言いたかったのか?

まず、セバスティアンについては断綴性言語という、声を出すのが困難でスムーズに喋れない障害を持っていたことがわかります。

映画『ジョーカー』でホアキン・フェニックスが演じたアーサーみたいですね。

さらに、現場に来た父親ダヴィドに“失敗作のパンケーキ”と言われます。

もちろんパンケーキとは息子セバスティアンのことです。

父ダヴィドとの会話から、セバスティアンがひどい育て方をされたとわかりますね。

会話を聞いたグジェゴシュは父ダヴィドに黙れ!と言いますが、

これは自分の人質としての立場が危うくなるからではなく、セバスティアンに同情したからでしょう。

ただ、普通は自分に銃を突きつけている犯人がちょっと可哀想だからって同情しませんよね。

おそらく、グジェゴシュもセバスティアンと同じように、父親からひどい扱いを受けてきた人物なのでしょう。

だからこそ、セバスティアンに強く同情したのです。

つまり映画『プライムタイム』は、

社会的弱者が行動を起こしたけど何も伝えられない悲しみを表現しているのです。

声を上げても揉み消される側の人間の苦しみとリアルな感情を伝えたかったのだと思います。

セバスティアンが本当に生放送したかったのは、スタジオでぞんざいに扱われた自分自身の姿だったのかもしれませんね。

自分の苦しみを世間に発信したかったのでしょう。

ポーランドの子供の虐待や障害者の問題などを踏まえつつ、

社会派の側面をあえて前面に出さずに、視聴者に強く意識させたという面では素晴らしいと思います。

私というパズル』や『悪魔はいつもそこに』のように、最後に登場人物の抽象的な葛藤だけが残るような斬新な作品だと思いました。

最後まとめ

映画『プライムタイム』は、社会的弱者の葛藤という強いメッセージを影絵のように浮かび上がらせたのは巧みでしたが、ストーリーが退屈だったのが残念です。

もうちょっとスコセッシ監督みたいに、テーマ性と物語の面白さをバランスよく取り入れて欲しかったですね。

見る側が想像を張り巡らせて初めて味わいが出てくるタイプの作品なので、好き嫌いがはっきり別れるでしょう。

ただ、監督ヤクブ・ピョンテクの次回作も見てみたい。

そう感じさせてくれる不思議な作品でした。

Netflix映画『プライムタイム』評価・感想レビュー終わり!

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