マリファナ映画『ジェントルメン』は、ストーリーの巧みさに定評のあるガイ・リッチー監督の最新作!オシャレでエレガントなマフィアたちが、“アートな殺人撃”を繰り広げていく予想外の物語が楽しめた!
マシュー・マコノヒーやヒュー・グラント、コリン・ファレルなど“おじさん”キャスト演技もとてもカッコイイ!
『ジェントルメン』あらすじネタバレを解説し、具体的に何が良かったのかなど、感想・評価を超ぶっちゃけていく。
- 映画ジェントルメン作品情報
- 『ジェントルメン』評価・感想/オシャレなおじさま映画
- 映画『ジェントルメン』ネタバレ考察,過去作や時系列
- 映画『ジェントルメン』あらすじネタバレ解説
- 映画『ジェントルメン』解説レビューまとめ
映画ジェントルメン作品情報
映画『ジェントルメン』スタッフ・キャスト
監督・脚本:ガイ・リッチー
撮影:アラン・スチュワート
主演:マシュー・マコノヒー/ミッキー役
出演:ヒュー・グラント/フレッチャー役
出演:コリン・ファレル/コーチ役
『ジェントルメン』評価・感想/オシャレなおじさま映画
個人的な評価は82点くらい。とにかくオシャレ度が予想以上で、中年男性たちのダンディな色気やエレガントな雰囲気が楽しめる。
途中途中で入る過激な殺しのシーンもスタイリッシュで見応え抜群。ガイ・リッチー節が炸裂だ。ビールと血が混ざったり、妻・ロザリンドの顔に血がかかったりするシーンなど、バイオレンスとアートの融合みたいで素晴らしい!
オシャレ映画『トレインスポッティング』のマフィア紳士バージョンみたいな感じ。
レイがフレッチャーと話している最中に、和牛を取った冷蔵庫に偶然殺したロシア青年の死体がある、編集長のビッグ・デイヴを豚とやらせるなど、過激なブラックジョークをたくさん盛り込んでいたのも良かった。
マリファナの煙でキャストを彩るオープニングもとてもクールだ。デヴィッド・フィンチャーの映画『セブン』のオープニングに次ぐかっこよさ!
マリファナというライトドラッグの製造や流通もスタイリッシュに映画いていて、見ている人が“悪ワル”になれる『ブレイキング・バッド』のようなカタルシスも得られる。
キャストの演技も、主人公・ミッキーを演じたマシュー・マコノヒーは風格があって最高にクールだったし、ゲスい情報屋フレッチャーを演じたヒュー・グラントの戯曲のようなウィットに富むセリフもよかった。
フレッチャー「果敢な猛獣は水を探して彷徨う」
みたいな感じだったと思うが、印象深い言い回しが多いのだ。
コーチを演じたコリン・ファレルも、貧困層で好き勝手行動する練習生たちをしっかり面倒みる“大人の味わい深さ”があった。
ストーリーもガイ・リッチームービーらしく、予想外の出来事の連続で最後まで飽きない。ラストは、フレッチャーの脚本を映画化したものが映画『ジェントルメン』だというオシャレなオチもついている。
映画『ジェントルメン』ネタバレ考察,過去作や時系列
ガイ・リッチー監督の過去作と比較考察
映画『ジェントルメン』は、一部ファンから絶賛されるガイ・リッチー家督作品、ジェイソン・ステイサムの『ロックストックアンドトゥースモーキングバレルズ』やブラピ主演の『スナッチ/Snatch』の正当な継承作といえるだろう。
その前2作と本作を比較すると、『ジェントルメン』は時系列の複雑さが少なくなっているのが特徴だ。“偶然のパズル”が次々に組み合わさっていくような強烈なガイリッチー節を期待するファンからすると、ちょっとあっさりしすぎて、その点はガッカリかもしれない。
2020年代に複雑で難しめな映画は流行らないと思って、見やすくてオシャレな作品に舵を切ったのだろう。
時系列と偶然のトリック考察
時系列をごちゃ混ぜにし、さらに予想できない偶然でストーリーを予測不能にするのがガイ・リッチー監督の手法(トリック)だ。
映画『ジェントルメン』ではそれらのトリックがどのように使われていただろうか。
時系列では、冒頭でボス・ミッキーが撃たれたように見せかけるシーン(この見せかけ自体が見事だったが)が、フレッチャーの語り部分の前の出来事なのか後なのかあやふやにするのが面白い。
偶然という点では、レイの部下が偶然ロシアマフィアボスの息子アスランを殺していて、その死体が冷蔵庫に入っていたのが笑えた。これがフレッチャーを一旦逃すキッカケにもなり、ミッキーたちが想像だにしていなかったロシアマフィアが介入する事になる。
あとはコーチの部下の黒人たちがミッキーを襲おうとして、結果助けるという偶然もガイ・リッチーらしい!
先ほども書いたが、フレッチャーが脚本を映画『ジェントルメン』の実際の製作会社MIRAMAX(ミラマックス)に持っていくオチもひねりが効いていて面白い。
ガイ・リッチーの脚本の緻密さがうかがえる!
映画内のストーリーテリング構造を解説
情報屋・フレッチャーが、自身のネタを物語形式で語っていくのが、映画『ジェントルメン』のスタイルで、映画内のストーリーテリングになっているのが特徴。
有名どころでいうとサスペンス映画『ユージュアル・サスペクツ』によく似た形式で小説や映画でいうところの“信頼できない語り手”の手法をとっている。
登場人物が語ったことが真実でなかったり不十分なために、視聴者からすると想定の範囲外の出来事が起こり、そのぶん驚けるという構造になっている。
映画『ジェントルメン』でいえば、フレッチャー自体が監視されていたり、ロシアマフィアの介入があったりと、新事実とピンチが後半で押し寄せることで、カタルシスが得られる仕掛けになっていたわけだ。
映画『ジェントルメン』あらすじネタバレ解説
ミッキー死亡?フレッチャーの脅し
ロンドンでマリファナ事業を営んでいるボス・ミッキー(マシュー・マコノヒー)が店でビールを飲みながら妻・ロザリンドに電話していると、背後に気配を感じる。彼女の前にも誰かが現れたようだ。その瞬間銃が放たれ、ミッキーのビールグラスが血で染まった。
一方、ミッキーの右腕・レイ(チャーリー・ハナム)の前に、情報屋・フレッチャー(ヒュー・グラント)が現れ、「ミッキーの悪事の証拠を集めた。2000万ポンドで払わなければ大手雑誌編集長のビック・デイヴに情報を売る」と脅してくる。
フレッチャーは、ミッキーの悪事を脚本化したものをウイスキーを飲みながら上機嫌で読み上げていった。
ミッキーの事業売買の波乱(フレッチャー脚本)
ミッキーはマリファナの合法化を見越して中年での引退を考えていた。そこで、ユダヤ人実業家・マシュー(ジェレミー・ストロング)に4億ポンドで事業を売却しようと考える。
マシューが年間50万トンものマリファナをどうやって栽培しているのかミッキーに尋ねると、ミッキーは貴族が管理する土地の地下にあるマリファナ製造工場を見せた。貴族に多額の金を渡し、土地を使っているので世間にバレないのだ。
そんな中、チャイニーズ系マフィアのドライ・アイが事業売却を聞きつけて売ってくれと提案するが、ミッキーは聞く耳を持たなかった。
ある夜、マリファナ工場が黒人のYoutuber集団に襲撃され製品が盗まれて、さらに動画がアップされる。ミッキーは憤慨した。
盗んだのは黒人のボクシングジムの集団だった。彼らの父親分でボクシングを教えるコーチ(コリン・ファレル)は、黒人格闘家たちがミッキーのマリファナ工場に手を出したことに気づいてすぐに動画を消させる。そしてミッキーの右腕・レイに謝罪した。レイは謝罪を受ける代わりに、コーチに“ある仕事”を依頼する。
ミッキーは貴族から「娘のローラを連れ戻してほしい」と依頼を受ける。
レイは仲間を連れローラが入り浸っている薬物中毒シンガーの家に行って彼らを脅しローラを確保するが、弾みでそこにいたロシア人青年・アスランがベランダから落下して死亡してしまった。
ミッキーはドライ・アイのボス・ジョージ卿に毒物を飲ませて「舐めたことはするな」と脅す。ジョージは結局、下剋上を狙うドライ・アイに殺された。
フレッチャーは話の途中で、マシューとドライ・アイの密会映像を見せ、大麻工場の襲撃はマシューが事業の買付価格を安くするために仕組んだことだと話した。
黒人集団にマリファナ生産工場の情報を教えたのも、ドライ・アイの部下ファ・アックだった。
ロシア人がミッキーを狙い(冒頭の場面)、レイがロシア人を撃ち殺した。
二人は車で急いで妻・ロザリンドのところへ。しかし途中で事故にあい、ミッキーは足を引きずりながら、妻のオフィスへ向かう。
ロザリンドを襲は襲われそうだったが、ミッキーがドライ・アイを撃ち殺した。
フレッチャーはここまで話すと、72時間以内に金を払えと念押しして去る。
すべてを片付けたミッキー
朝レイはフレッチャーを呼びつけ、編集長のビッグ・デイヴをコーチに拉致させ、薬を飲ませ彼がブタとヤっているところをビデオに収めたから、記事は出せないと笑う。
さらに、フレッチャーが隠していた証拠品を全部確保した(コーチと黒人集団にやらせた)と言って彼を取り押さえる。
怪しい動きをするフレッチャーのことを、コーチの部下を使って監視していたのだ。
フレッチャーは、「レイがマシューの前で撃ち殺した人物(オープニングでミッキーに銃を向けたヤツ)は、お前らが落下させて殺したアスランの父親のロシア系マフィアで、保険として自分がアスラン殺しのいきさつを教えておいた」と彼らと取引していると言う。
そのときレイの家は銃撃を受けるが、コーチが襲撃者たちを銃で倒した。しかし、フレッチャーは逃げる。
ミッキーはマシューを巨大な冷凍庫の中で脅し、事業の売却価格を下げるために工場を襲わせた補填を払えという。さらに、自分の肉を自分で1ポンド切り落とさないと外に出さないと言った。
マシューへの罰を終えてミッキーが車にのこむと、運転手はロシア人マフィアで絶体絶命。
そこへコーチから連絡を受けた黒人格闘家たちが(馬鹿な考えでミッキーを襲おうとしてた)、車で前に回り込んでマシンガンを発射。マシューは生き残った。
フレッチャーは、ミッキーの悪事についての脚本を映画会社に売りつける。しかし、レイに捕まってしまった。
映画『ジェントルメン』END!
映画『ジェントルメン』解説レビューまとめ
映画『ジェントルメン』は、やや複雑なストーリーがもたらす驚きやアート的な殺人シーンがうまく機能していて、誰もが楽しめるクライムムービーと結論づけられるだろう。
マシュー・マコノヒーやヒュー・グラント、コリン・ファレルなど、“おじさま”キャストや演技の魅力もバッチリ引き出されていた。
往年のガイ・リッチーファンは「もう少しストーリーが複雑でも良かった!」との感想になるかもしれないが、マリファナ事業を営むボスのストーリーをオシャレかつ意外性たっぷりに描いた良作だったと思う。
ガイ・リッチー監督の次回作『ラース・オブ・マン/Wrath of Man』も楽しみだ!
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