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ヒーローを辞めた!『ワンダヴィジョン』全話ネタバレあらすじ感想・評価!シットコムからサイコの構成解説・考察

『ワンダヴィジョン』

ディスニープラス配信のマーベルドラマ『ワンダヴィジョン』はワンダとヴィジョンの謎の“シットコム(シュチュエーションコメディ)”で始まる、常識を覆すような作品だった。

意味不明なシットコムから段々と謎が溶けていく過程が面白い。

シーズン1全話のネタバレあらすじ、感想・評価、斬新な構造について考察していきます!

シットコムと思いきや、失望のサイコドラマだった!とにかく最後まで驚かせてくれた『ワンダヴィジョン』。

 

ワンダヴィジョン/シーズン1全9話ネタバレあらすじ解説

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シットコムをするワンダとヴィジョン

アベンジャーズ/エンドゲーム』から数週間後の世界。

ワンダ・マキシモフ(演エリザベス・オルセン)とヴィジョンは、ウエスト・ビューというのどかな街で新婚生活を始める。

ヴィジョンは計算の会社で働き、ワンダは隣人のアグネスと友達になる。二人は幸せに暮らしていたが、ときどき不思議な現象が起きる。

まもなくワンダは妊娠し、友人モニカの前で双子を出産。しかし、モニカは急にウルトロンや兄ピエトロの話をし出した。モニカがこの世界の異物だと感じたワンダは、彼女を街の外に弾き飛ばした。

ワンダとヴィジョンと、双子の息子トミーとビリー

双子のビリーとトミーはたった1日で10歳くらいに成長。ヴィジョンはワンダが何か隠していると疑念を抱いくようになる。死んだはずの兄ピエトロが生前と違う姿で現れた。

街の外に出たモニカは、自分がS.W.O.R.D.(ソード/知覚兵器観察対応局)の捜査官だと思い出す。ウエスト・ビューという街が丸ごと消えて捜査に行った時に街に吸い込まれたのだ。

ワンダの結界に支配された街の周りには軍や科学者が集まり、ソード長官・ヘイワードの指揮で動いている。学者のダーシー・ルイスは街から放送電波が出ていると気づき、“ワンダ主演のシットコムコメディ”を受信して中で何が起こっているか確認する。平和に見えるが、すべてがワンダに操られているようだ。

ヴィジョンが内緒で街の端の結界から出ようとすると、体が崩れ存在がなくなりそうになる。ビリーは遠隔知覚能力でヴィジョンのピンチを知り、ワンダに伝える。ワンダは領域を一気に広げ、周囲の軍人やダーシーもシットコムの世界に入ってしまった。

ヴィジョンはダーシーと話し、自分がサノスに殺されて死んでいると気づく。

モニカは街の中に戻り、ワンダを苦しみから解放したい思いで彼女を説得しようとする。

そんな中、隣人のアグネスはワンダの子供たちを人質に取る。彼女は1600年代から生きるアガサ・ハークネスという魔女だと正体を明かした。ピエトロを送り込んだのもアガサで、彼女はワンダのパワーの秘密を探るために街に来たのだ。

魔女のアガサ・ハークネス

ワンダが“無”からヴィジョンを作り上げたと知ったアガサは、彼女が人類を滅ぼす伝説の魔女スカーレットウィッチだと気づき、そのパワーを得ようとする。

街の外ではヘイワード長官が、ヴィジョンの遺体にワンダの境界からのパワーを与え、ヴィジョンの形をした白い兵器として蘇らせて街を攻撃させる。

白いヴィジョンとワンダが作り出したヴィジョンの戦い

蘇った白いヴィジョンは、ワンダが作り出したヴィジョンと戦う中で、インフィニティーウォーまでの記憶を取り戻して飛び去っていった。

ワンダとアガサは魔法で激しい戦いを繰り広げ、ついにワンダが勝利。アガサにはアグネスとしてずっとこの街で生きていくことを強いた。

ワンダとアガサのラスト決戦

ワンダは街の結界を弱め、人々が操られていた苦しみから解放され我に返っていく。

ワンダは子供たちやヴィジョンと家で最後の時を過ごす。次の朝、結界は完全に解かれ家族は消えてしまった。

ワンダは遠く離れた山間に小屋を建てて暮らしている。奥ではスカーレットウィッチが、壁にはりつけの状態で魔法の書を読んでいた。

ワンダヴィジョン/シーズン1 END!

 

ワンダヴィジョン感想と評価/完全なサイコドラマ

MCUフェーズ4の『ワンダヴィジョン』

個人的な評価は82点くらい。

2話まではずっと白黒シットコムで、微妙な笑いの展開が続いて見る気が失せそうになるのだが、そこから全てがワンダの狂気だったとなりどんどん楽しくなっていく。

第1話や2話の明るい雰囲気とは裏腹に、現実逃避したワンダが超パワーで街の人々全員を人質にして苦しめ、理想の世界を楽しむというかなり狂った話だ。内容的には、女優の死ぬ間際の夢を描いたデヴィッド・リンチのカルト的傑作『マルホランド・ドライブ』に近い。

同じくディスニープラスオリジナルのマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の続編『ファルコン&ウィンターソルジャー』は、現実と向き合って生きる意義を示すような希望のある作品だったのに対し、『ワンダヴィジョン』は最愛の人を失った女性の狂気を描く、サイコドラマ的なストーリーとなった。

ラストシーンからワンダの今後を予想/新ヴィラン誕生?

マーベルドラマ『ワンダヴィジョン』のラストシーン

(↑ラストシーンのワンダ)

『ワンダヴィジョン』は、ヴィラン誕生譚でもあるのかもしれない。

現実に失望したワンダは街の人々を“シットコム”に強制参加させ、結果的に苦しめていた。

大切な人を失って現実を見失い人々に危害を加えてしまうのは、ヴィランになる展開パターン。DC映画『JOKER/ジョーカー』や『ダークナイト』のトゥーフェイスもそのパターンだ。

ラストシーンは、ワンダが人里離れた小屋で何か飲んでいて、奥でスカーレットウィッチバージョンのワンダが魔法の書を開きながらラリっているというもの。

精神が崩壊して、ワンダとスカーレットウィッチに分裂してしまったのか?

とにかく、ヴィジョンを2度失い、子供(ワンダの能力で作った)も消えてしまったので、失望したワンダが次のサノスになりそうな雰囲気ムンムンである。

子供を取り戻すために、また現実改変しそうだw

最後にワンダを呼ぶ子供の声が聞こえてきたが、あれは回想なのか?

もしかすると、ワンダが作ったウエストビューはパラレルワールドにまだ存在していて、子供のトミーとビリーもそこにいるのか!?

『ワンダヴィジョン』はシーズン2もありそうだしどうなるか楽しみだ。続編では蘇った白いヴィジョンとワンダが出会うのだろう。

ヒーローモノを脱却したワンダビジョン考察

ハイレグ姿のワンダ(エリザベス・オルセン)

本作『ワンダヴィジョン』からマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)はフェーズ4に突入した訳だが、大人が楽しめるヒーローモノという感じがより強くなっていて、個人的には嬉しい。

今作に至ってはワンダのヒーロー的な要素は全くなく、最愛の人を失った女性の狂気を顕在化した作品といった方が正しいだろう。

マーベルは単なるヒーローモノから完全に脱却しようとしているのではないか。

白黒の1950年代シットコムがすべてワンダが作り上げた世界であり、コメディから失望に切り替わる“落差”がものすごい。

ポン・ジュノ監督の映画『パラサイト半地下の家族』も、序盤はクライムコメディで後半はサイコサスペンスに変わるのだが、『ワンダヴィジョン』の場合は、ジャンルだけでなく1話と後半で映像から演じ方見せ方が全く異なり、もはや違う作品になっている

物語の謎が解け、シリアスになっていくに連れて、だんだん70年代、80年代風のカラー映像になっていき、終盤はシットコム的な場面が消えていく。そしてワンダの狂気が浮き彫りになっていくのだ。

シットコムの愉快な隣人から、ヴィランに変貌したアガサもおもしろい。

この構成は本当に巧みだと思う、序盤のシットコムを“とことん明るく”見せることで、後半のワンダの失望感がより大きく見えて物語のカタルシスも上がっていくのだ。

この奇怪なストーリー構成に挑戦し、視聴者が違和感なく見られる完成度で作り上げたマーベルスタジオに敬礼!!