マーベル映画『シャン・チー/テン・リングスの伝説』はアジア的ワクワクが詰め込まれた期待を遥かに超える傑作カンフーヒーロー映画でした。
兎にも角にもマーベルとカンフーの化学反応が素晴らしく、ストーリーのテンポやワクワク感も最高。
今年公開映画ではベスト3に入るくらい面白かったです。
ぶっちゃけ感想や評価、アイアンマンとリンクする父子の物語考察、ドラゴンのメタファー解説、キャストやストーリーネタバレあらすじ紹介を書いていきます!
中華とマーベルのハイレベルな融合!大ヒットして新たなマーベルの歴史を作るのでは?
- 『シャン・チー/テン・リングスの伝説』ネタバレなし感想・見どころ
- 『シャン・チー/テン・リングスの伝説』ネタバレ感想・評価
- 父子の物語の必然性
- ドラゴン・怪物のメタファー考察
- 映画『シャン・チー/テン・リングスの伝説』キャスト,登場キャラ,作品情報
- 『シャン・チー/テン・リングスの伝説』ネタバレあらすじ解説
- 最後のまとめ
『シャン・チー/テン・リングスの伝説』ネタバレなし感想・見どころ
『シャン・チー/テン・リングスの伝説』の個人的な評価は88点。超楽しめました。
まず、カンフーアクションとマーベルの化学反応がシンプルかつディープ!
中国の武術集団やドラゴンなどなど、胸おどる東洋文化を全面に押し出した画期的なマーベル作品だと思います。
MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の作品をいろいろ見てきましたが、『アベンジャーズ/エンドゲーム』に次ぐ面白さで、個人的には『アイアンマン1』や『アベンジャーズ1』と同じか、それ以上のカタルシスを味わえました。
ヒーローエンタメとしては超ヒットした『ブラック・パンサー』や、DC『アクアマン』を超えているという印象。
スカーレット・ヨハンソンの映画『ブラック・ウィドウ』よりもエンタメ的に上でしょう。
ぜひ劇場の大迫力で体感してください!
※以下、映画『シャン・チー/テン・リングスの伝説』のストーリーネタバレありなので注意してください。
『シャン・チー/テン・リングスの伝説』ネタバレ感想・評価
いいところを挙げるとキリがないくらい完成度が高いのですが、まずアジア系を主人公にすえる上で、文化に対してリスペクトが感じられました。
「マーベル様がアジアのモチーフを欧米風に料理してやったぜ!」という嫌味な感じがなかったね。
中途半端に取り入れるのではなく、中華文化の良さをガッツリとダイナミックに描くというコンセプトがあったのでしょう。
さらにキャストがほとんどアジア系で、MCUの他のヒーローを本編でほとんど登場させなかったことで、作品全体に統一感とリアリティがもたらされていました。
もちろんアイデアも“アジア的なワクワク”をたくさん取り入れています。
バスの中でのシャン・チーの飛んでからのダブルキックはシビれました!
両足での同時攻撃は、両手で攻撃することもある中国武術っぽい発想ですよね。
また、世界的にヒットした中国の映画『HERO』(2002)っぽい演出も随所にあり印象的でした。
他にも、竹林に守られた中華の秘境をラストの舞台にして、さらにドラゴンまで登場します。
湖の底でドラゴンの水泡を浴びて目覚めるシャン・チーは、最高に格好良かったですし、日本の少年漫画のような胸熱展開です。
ラストの白いドラゴンと巨大怪物のモンスターバトルも『パシフィックリム』ばりの大迫力で楽しめました。
2021年ののMCUフェーズ4作品だとドラマ『ワンダ・ヴィジョン』や『ファルコンアンドウィンターソルジャー』を見ましたが、それらより全然エンタメ的な面白さでは上だと思います。
同時期公開のDC映画『スーサイドスクワッド2』よりもヒットすることは間違い無いでしょう(ややジャンルは違いますが)。
マーベルはネクストレベルに進化している印象です。
父子の物語の必然性
アイアンマンを生み出したテン・リングス
『シャン・チー/テン・リングスの伝説』は、巨大な父ウェンウーに息子シャン・チーが挑む物語です。
ちょうどアイアマンことトニー・スタークとその父ハワード・スタークと似た関係ですね。
ハワードはウェンウーのような悪に染まった人物ではありません。
ただ経営するスターク・インダストリーズは軍需企業なので世界の戦争と無関係ではありませんし、キャプテン・アメリカを生み出した「スーパーソルジャー計画」に携わるなど軍部と深い関わりもあります。
結果、事業を引き継いだトニー・スタークは世界中の反対勢力から恨みを買って拉致されます。
実は、トニーを拉致したテロ組織こそがウェンウーを頂点とするテン・リングスです。
『シャン・チー/テン・リングスの伝説』が父子の物語になったのにはMCU的に必然性があったといえるでしょう。
もしかすると、シャン・チーが次のアイアンマンくらいの人気を獲得していくかもしれませんね。
次世代へ引き継がれる罪と責任
もっと大きな視点で言えば、ウェンウーやハワード・スタークが世界に争いをもたらし、その業のようなものが次の世代であるシャン・チーやトニーに降りかかってきています。
そしてこの次世代に責任丸投げ(悪く言えば)の構図は現実の世界でも多くの事柄にあてはまります。
例を挙げるとキリがないですが、アメリカやソ連の冷戦しかり、環境問題しかりです。
その点を受け止めたからこそ、アイアンマンは大人が深く考えられる映画になりましたし、本作『シャン・チー』も見応えがあったのだと思います。
作品の根底には誰もが少しは感じた経験のあるファーザー・コンプレックスや社会問題へのジレンマがあり、それらがしっかり伝わるからこそ共感を呼ぶのだと思います。
ドラゴン・怪物のメタファー考察
湖の底にいた白いドラゴンには、シャン・チーの死んだ母親イン・リーが乗り移っているようでしたね。
飛ぶ怪物は魂を吸い込みますが、イン・リーの魂は白いドラゴンに吸い込まれたのかもしれません。
それとは対照的に、デーモンのようなドラゴンのような封印から解かれた怪物は、父・ウェンウーが今まで殺してきた魂を吸って成長したようでもあります。
罪業(ざいごう)の集合体のようですね。
腕輪テン・リングスは、妻の声で壁の封印を解けとウェンウーをたぶらかすなど、邪悪な性質もあるようです(MCUフェーズ4で第二のサノスが登場する伏線になりそう)。
推測ですが、ウェンウーが腕輪で殺した人たちの魂が壁の向こうの怪物に吸われていた可能性もある気がします。
そう捉えると『シャン・チー/テン・リングスの伝説』は、父の罪を母と子供が浄化する物語だといえるでしょう。
映画『シャン・チー/テン・リングスの伝説』キャスト,登場キャラ,作品情報
公開・制作:2021年9月3日・マーベルスタジオ
監督:デスティン・ダニエル・クレットン
脚本:デスティン・ダニエル・クレットン/デヴィッド・キャラハム
原作:スティーブ・エングルハート/ ジム・スターリン著コミック『シャン・チー』
撮影:ビル・ポープ
デスティン・ダニエル・クレットンは、『ブラック・パンサー』のヴィラン役だったマイケル・B・ジョーダン主演の『黒い司法 0%からの奇跡』を監督しています。
デスティンは日系アメリカ人の母を持ち、日本人の血を引いているのもアジアっぽさを出す上でプラスになったかもしれませんね。
撮影のビル・ポープは映画『マトリックス』などで有名です。どうりで迫力のカンフーアクションがわかりやすく撮られていました。
シャン・チー/シム・リウ
シャン・チーは、アメリカ・サンフランシスコ在住で、ホテルの駐車場係として働く青年。
アメリカではシェーンと名乗っています。
権力や富を求め、世界で争いを続けている武闘テロ集団テン・リングスを率いる父・ウェンウーのもとで小さな頃からカンフーと殺人技術を叩き込まれ、14歳で最初の暗殺をした後にアメリカに逃亡します。
俳優シム・リウは本作で大抜擢されたスタントもできる俳優。テレビドラマ『96時間』のファーロン役で有名です。
シュー・ウェンウー(マンダリン)/トニー・レオン
ヴィランのウェンウーは、世界的な権力を持つ武闘派テロ組織テン・リングスの創設者。
年齢は2000歳を超えています。
火口で拾ったテン・リングスの腕輪で強大なパワーと不老不死を手に入れ、数千年前から戦争に明け暮れていましたが、1996年にター・ロー村のイン・リーと運命的に出会い結婚。
その後シャンとシャーリンという子宝に恵まれるも、妻イン・リーが暗殺者に殺され、再び武闘派集団でのビジネスに手を染めます。
俳優トニー・レオンは、映画『HERO』(2002)やジョン・ウー監督の『レッド・クリフ』で知られる中国の国際的なスターです。
テン・リングス(組織)
テン・リングスは、ウェンウーが立ち上げた暗殺武術を極めた中国にアジトを構える傭兵集団。構成員は武器術に加え、接近戦や格闘が得意です。
世界のさまざまな事件で暗躍し、権力を保持しています。
映画『アイアンマン』でトニー・スタークをさらったのもこの組織です。
テン・リングス(武器)
テン・リングスは、身につけると超パワーを発揮し、遠隔操作もできる未知の鉱物で出来た腕輪。
また、ずっと身につけると不老不死の効果があり、ウェンウーのようにずっと生き続けられます。
ケイティ・チェン/オークワフィナ
ケイティは高校生の頃からのシェーンの親友で、ホテルの駐車場係。
バスでのレーザー・フィストの襲撃があり、シェーンがカンフーが強く、シャン・チーという本名だと初めて知って驚きました。
オークワフィナは女優兼ラッパーという異色の経歴の持ち主。映画『オーシャンズ8』のコンスタンス役などで有名です。
ミュージカル映画『フェアウェル』で主役を務めゴールデングローブ賞を獲得しました。
シャーリン/メンガー・チャン
シャーリンは、シャン・チーの妹。
武術の訓練を受けさせてもらえませんでしたが才能があり、見よう見まねで覚えます。
ひもに刃物をつけたボーラのような武器が得意です。
兄シャン・チーが逃げたまま帰ってこないと知り、自らもテン・リングスのアジトから脱出してマカオで地下格闘技場を開きました。
レーザー・フィスト/フロリアン・ムンテアヌ
レーザー・フィストは、テン・リングスの上級構成員です。
右腕にソードをつけており、非常にタフです。
俳優フロリアン・ムンテアヌは元ヘビー級のボクサーで、ロッキーシリーズの『クリード炎の宿敵』でヴィクター・ドラゴ役を演じて有名になりました。
『シャン・チー/テン・リングスの伝説』ネタバレあらすじ解説
シャン・チー(アメリカではショーン)は、高校時代からの親友ケイティ・チェンとホテルの駐車係の仕事をしていますが、友人のジョンたちからは「能力はあるのにもったいない」と笑われました。
ある日通勤のバスの中で、武闘派集団テン・リングスの暗殺者レーザー・フィストたちが襲ってきます。
ケイティがバスを運転している間に、シャン・チーがカンフーで戦ってどうにか撃退。
しかし、母親の肩身である緑色の宝石のペンダントを奪われます。
シャン・チーはテン・リングスを束ねる父・ウェンウーが、何かよからぬことを考えていると推測し、妹シャーリンがいるマカオへ行きます。
シャーリンからのハガキの住所は、ジャン・ジャンという人物が仕切る違法の格闘技賭博ビルでした。
メインのリングでウォン(ドクター・ストレンジに出てくる魔術師)とアボミネーションが対戦しており、ウォンが勝ちます。
シャン・チーはリングに上がらされます。対戦相手はなんと妹シャーリンでした。
シャーリンは、兄が自分の元を去ったことを恨んでいます。
シャン・チーは話してなだめようとしますが、回し蹴りでノックアウトされました。
試合後、シャーリンがやってきて地下格闘技場のオーナーをやっていると話します。
そこへテン・リングスの兵士たちが現れ、シャン・チーたちは応戦します。
父・ウェンウーが現れ、「10年ぶりに家族一緒に過ごしたかった」と言いました。
シャン・チーたちはヘリに乗せられて崖山にあるテン・リングスのアジトへ行き、食事をします。
シャン・チーは、幼い頃に母が暗殺者に殺されたあとで、父・ウェンウーの部下に毎日カンフーを鍛えられた日々を思い出します。
最初の暗殺の仕事として母の仇を殺し、罪悪感から待っている妹のもとへ戻れなかったことを回想しました。
火口から発見されたテン・リングスを身につけている父・ウェンウーは、「死んだ母イン・リーの声が聞こえて、彼女の魂が異次元の武術を使う神秘の村ター・ローに囚われているからそこを攻める」と言います。
シャン・チーたちは村の焼き討ちに反対し、牢に入れられました。
牢は広く、奥にはかつてウェンウーに協力したトレヴァー・スラッタリーが、キュートなモンスター・モーリスと一緒に暮らしています。
モーリスはター・ロー村の出身らしく、みんなは牢から脱出して彼の案内で村へ向かうことに。
動く竹林の迷路のトラップをケイティの運転でどうにか抜け、ター・ロー村に到着しました。
シャン・チーは母の姉妹である叔母イン・ナンと会い、攻めてくるウェンウーに備えて武術を習います。
ウェンウーたちが攻めてきて戦闘が始まりました。
ナンは「湖の対岸の崖に封じられているのは化け物だ」と言いますが、ウェンウーは聞きません。
ウェンウーはシャン・チーを倒し、対岸の封印を殴り始めます。
壁の隙間からコウモリのような異形の化け物が何体も現れ、戦士たちの魂を吸い込み始めました。
テン・リングスのレーザー・フィストらは、ター・ロー村の戦士たちと協力して襲いくる化け物たちを倒して行きますが、何名もの犠牲がでます。
シャン・チーは湖の底で意識を戻し、巨大なドラゴンと目が合います。その背中に乗って再び父の前に立ちはだかりました。
シャン・チーは母が教えてくれたカンフーの型を思い出し、ウェンウーのテン・リングスの力をいなしながら彼を圧倒します。
そんなとき壁の封印が壊れ、竜のような巨大なモンスターが壁から現れました。
モンスターはウェンウーをつかみ、魂を吸い込もうとします。ウェンウーは微笑み、シャン・チーにテン・リングスをたくして死亡しました。
モンスターはドラゴンにつかみかかり、魂を吸い込もうとします。ドラゴンの力を得られたら世界の終末です。
地上からケイティが弓を射て、なんとかドラゴンはモンスターから逃れました。
シャン・チーが紫色に光るモンスターの胸にテン・リングスを突き刺し、胸を突き破って倒しました。
ター・ロー村やテン・リングスの兵士たちに多数の犠牲者が出ましたが、シャン・チーたちは世界の脅威を防ぎました。
アメリカへ戻り、ケイティは2人の活躍をバーで話しますが信じてもらえません。
そこへウォンがワープでやってきます。
シャン・チーとケイティはワープをくぐり、ウォンやキャプテン・マーベル、ブルース博士(ハルク)とのリモート会議に出席。
「テン・リングスの腕輪は未知の物質で、何か信号を送っているようだ」と聞きます。
〜エンドロール後〜
シャーリンは武闘集団テン・リングスを解体すると言っていましたが、そのリーダーとなりレーザー・フィストらを率いて活動を再開します。
マーベル『シャン・チー/テン・リングスの伝説』終わり!
最後のまとめ
本作ではカンフーアクションとマーベルスタジオの相性の良さが発見でき、ワクワクが止まらず終始飽きない傑作でした。
『シャン・チー/テン・リングスの伝説』は、個人的にマーベル・シネマティック・ユニバースのフェーズ4を引っ張る作品になると思います。
今後のヒーローシャン・チーとケイティのコンビの続編が楽しみです!
映画『シャン・チー/テン・リングスの伝説』レビュー終わり!
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