Netflix映画『ウィッチャー狼の悪夢』(原題:The Witcher: Nightmare of the Wolf)は人気ゲームやドラマをアニメ化した作品。
魔物を狩る戦士・ウィッチャーや魔法使いのダークで凄惨な戦いを描いていて、アクションの迫力もすごくてハイクオリティなアニメでした。
ストーリー面も素晴らしく、感動と意外性を兼ね備えているのも高ポイント!
ちなみにタイトルの狼とはウィッチャーたちのことです(狼のメダリオンを付けている)。
最近のNetflixアニメでNo.1!ぜひ見てほしい!
Netflix映画『ウィッチャー狼の悪夢』キャスト・作品情報
公開・制作国:2021年8月23日配信/Netflixアメリカ・韓国
監督:ハン・クワンイル(Han Kwang Il)
脚本:ボーデマヨ
原作:アンドレイ・サプコフスキ『ウィッチャー』
声:テオ・ジェームズ/ヴェセミル役
声:ララ・パルヴァー/テトラ役
声:メアリー・マクドネル/イリヤナ役
声:グレアム・マクタヴィッシュ/デグラン役
原作小説があり、それをもとにしたゲームシリーズやNetflix実写ドラマ『ウィッチャー』が作られています。
本アニメはゲームやドラマの主人公・リヴィアのゲラルトの師匠ヴェセミルの物語で前日譚になります(ドラマの内容を見てなくても楽しめます)。
ヴェセミルの声を担当したのは映画『ダイバージェント』シリーズなどで有名な俳優テオ・ジェームズ。
韓国のStudio Mir(スタジオミール)が制作を担当しており、アニメーションのクオリティは抜群!スタジオミールはNetflix『ヴォルトロン』や中国アニメ映画『紅き大魚の伝説』を手がけています。
ネタバレなし感想・あらすじと見どころ
Netflixアニメシリーズだけでなく、それ以外の2021年公開アニメ映画も含めて文句なしのNo.1!
テイスト的には映画『ヴァンヘルシング』に近いダークな内容で、特にアクションシーンに躍動感があり見応え抜群です!
ストーリーも“種族間の終わらない戦い”といったテーマがしっかり描かれていて引き込まれますし、アニメーションも超綺麗!
グロいシーンがあり子供向けではありませんが、アニメが別に好きじゃない大人が見ても十分楽しめるハイクオリティな作品なので、ぜひネトフリで視聴してみてください。
※以下、映画『ウィッチャー狼の悪夢』のストーリーネタバレありなので注意してください。
ヴェセミル
ヴェセミルは本作の主人公で、ゲラルトの師匠。
金持ちの使用人として貧乏な生活をしていましたが、デグランに会って金を稼げるウィッチャーを志しました。
イリヤナ
イリヤナは、ヴェセミルと同じ屋敷で育った元召使い。
ヴェセミルが恋心を抱いていた女性です。
貴族と結婚し今は王宮で相談役として暮らしています。
テトラ
テトラはケイドウェン王国に使える魔法使いで、魔法使いの始祖の子孫です。
美人ですが言いたいことをズバッと言うキツめの性格で、なぜかウィッチャーたちを憎んでいます。
『ウィッチャー狼の悪夢』ネタバレ感想・評価
『ウィッチャー狼の悪夢』の評価は88点。
Netflixアニメシリーズでいえば『ビーザビギニング』を遥かに凌駕していましたし、全体的なクオリティも『竜とそばかすの姫』などを超えていると感じました。
特に主観・俯瞰など視点をリズミカルに切り替えたアクションシーンは躍動感があって迫力満点でアニメ『呪術廻戦』シリーズに匹敵するクオリティなのでは?と感じました。
ストーリーも人間・ウィッチャー・エルフ・魔法使い・怪物など種族間の業深き争いを軸に、ヴェセミルとイリヤナが異なる時間軸を超えて再会する恋がとても印象的。
ヴェセミルは見た目が変わらず、イリヤナはおばあちゃんになっているので、スピルバーグの映画『フック』(1991)のような切なさが心に残りました。
また『ウィッチャー狼の悪夢』は同名人気小説を原作にしていることもあって、世界観も確立しており、『ゲーム・オブ・スローンズ』のアニメ版みたいな感じですね。
さらに、映画『エクソシスト』(1973)のオマージュのスパイダーウォークなど、小粋な遊び心も見逃せません。
本アニメのシリーズ化を熱烈に希望です。
本作は韓国のアニメ制作会社Studio Mir(スタジオミール)が作っています。韓国は映画やドラマのクオリティも高いですが、アニメでも世界的に認知されていくかもしれませんね。
苦しみを継ぐ者:ウィッチャー考察
『ウィッチャー狼の悪夢』が特に良かったのは、登場人物たちが人間の業や悲劇を受け継ぐ者として描かれていたことです。
ラストの戦いで幻の中でルカが「司祭を騙した話をしろ」と言っていたので、おそらくテトラの母親の死のきっかけを作ったウィッチャーこそがヴェセミルだったのでしょう。
悪魔はどっちだ?という話しでもあります。
つまり、テトラのケィアモルヘン襲撃の発端は、ヴェセミルの過去の愚行だったとも考えられるのです。
またウィッチャーのデグランやライドリックは怪物を作り出し、裏でエルフを改造してキツを怪物に変異させました。
変異して魔物の特性も持ってしまったキツは、同じエルフの少女たちを実験で大量に殺してしまいます。
ウィッチャーの悪行を知ったテトラは、キツと協力してウィッチャーを虐殺します。
罪深き者たちしかおらず、負の連鎖が止まらないのです!
さらにウィッチャーは長生きなので、罪を次世代まで担いでいく役割を持っているとも考えられます。
主人公のヴェセミルは十字架を背負ったまま、次世代を担う少年・ゲラルトたちに正義の心を伝えようと苦心するのでしょう。
『ウィッチャー狼の悪夢』ネタバレあらすじ解説
ヴェセミルの少年時代
少年ヴェセミルはある屋敷の使用人として雇われていました。
屋敷の夫人が魔物に取り憑かれており大変な状態です。
ヴェセミルは貧しい生活に嫌気がさし、お使い中に好意を寄せている少女イリヤナと盗みを働きますが…。
ヴェセミルたちの盗みは、ウィッチャー(魔物退治の戦士)のデグランに見つかります。
デグランは魔物を退治するため、「屋敷に案内しろ」と言いました。
狂って暴れる夫人を縛り付け、デグランが魔法陣を描き呪文を唱えます。幻影を使う蜘蛛型のマールという怪物が現れ、デグランが倒しました。
大金をもらったデグランを見たヴェセミルは、父とイリヤナを残しウィッチャーたちが住むケィアモルヘンへ旅立ちました。
ケィアモルヘンでウィッチャーになる修行を受けますが想像以上に過酷で、同期の仲間たちの多くは怪物に襲われて死亡。
最終的に生き残ったヴェセミル、ルカ、スヴェンたちは“草の試練”と呼ばれる、ミュータント(突然変異体質)になるための薬をライドリックから飲まされ、数日苦しみ悶えます。適応がなく死ぬ者もいました。
ヴェセミルはこの試練を乗り越えてウィッチャーになり、賞金首の怪物たちを次々に倒して世間に名を轟かせました。
現在
ヴェセミルは森で父と妹たちを魔物に殺されたスーゴを見つけ、魔物を倒します。
エルフの友達フィラヴァンドレルから、アルド・カレイの森でエルフの少女たちが行方不明になっていると聞きました。
ヴェセミルは、今はもう70歳ほどの老人になっているイリヤナに会います…。
イリヤナは議会員と結婚し、旦那が死んだ後、ケイドウェン王の相談役になっていたのです。
ウィッチャーの特異体質を持つヴェセミルは若い姿のままです。
ヴェセミルはイリヤナに頼まれ、ケイドウェン王に使える魔法使いテトラ・ギルクレストとアルド・カレイの森を調べに行きます。
するとエルフの少女・キツが魔物マールと同化した姿でバシリスクを呼び寄せ、ヴェセミルたちを襲わせました。
ヴェセミルとテトラはなんとかバシリスクを倒すと、キツは逃げます。
キツを追って古びた城に入ると、エルフの少女の死体がたくさんありました(少女たちを変異させる実験をした)。
フィラヴァンドレルが捕われています。ヴェセミルはフィラヴァンドレルを助けると、彼は生き残っているエルフの少女を1人抱えて去りました。
ヴェセミルはケィアモルヘンの城へ戻ります。すると、魔物同士を種族交配させて怪物をたくさん世に送り出していたのは、デグランとライドリックだと判明。
怪物が少なくなっているため、仕事を増やすために自分たちで生み出していたのです。
ヴェセミルは怒り、デグランと乱闘になりますがイリヤナが城にやってきます。
イリヤナは、ウィッチャーの真実を知ったテトラがルカを処刑し、信者を率いてこちらを攻めてくると言います。
テトラはキツと協力し、数多くの怪物たちを召喚して城を攻めてきました。
デグランやヴェセミルらウィッチャーの兵士は必死に戦います。
ヴェセミルが城の中へ行くと、ライドリックがテトラたちに囲まれていました。
ヴェセミルは霊薬(ポーション)を飲んでパワーアップして向かっていきます。しかしキツが作り出した幻影(イリヤナと幸せに暮らすイリュージョン)を見せられて一瞬止まります。
ヴェセミルは幻の中のイリヤナを殺して幻影を解き、テトラと戦います。
魔術に苦戦して左手を切り落とされますが、どうにかテトラの首を切り落としました。
キツも剣で刺します。
しかしその瞬間また幻影が解かれ、自分がライドリックの首を落とし、イリヤナの腹部を刺していたことに気づいて驚きました。切断されて左腕もあります。
テトラはヴェセミルに矢を放ち、母がウィッチャーの金儲け計略にハマって死んだと話します。彼女は復讐を果たしたかったのです。
テトラはやってきたデグランに殺されます。デグランも重傷を負っており生き絶えました。
ヴェセミルは傷ついたイリヤナを、いつか話したような湖に連れていきました。2人は朝焼けを見ます。イリヤナは生き絶え、ヴェセミルは涙を流します。
その後、ヴェセミルはケィアモルヘンの戦いで生き残った少年訓練兵のゲラルトたちを見つけ、正義の心を持つウィッチャーに育てる決意をするのでした。
映画『ウィッチャー狼の悪夢』終わり。
最後のまとめ
アニメ映画『ウィッチャー狼の悪夢』は、中世風のダーク世界観・迫力のアクションシーン・諸行無常のストーリーが三位一体となった傑作でした。
正直ネットフリックスのアニメシリーズは、10個中9個が微妙な作品になっているのが現状だと思います。
最近でいえば『バイオハザード:インフィネットダークネス』はなかなかでしたが、『モンスターハンターレジェンド・オブ・ザ・ギルド』などストーリーが微妙な作品が多かった印象です。
そこへきて『ウィッチャー狼の悪夢』のクオリティはずば抜けていました。
各国の制作会社で作っているのでクオリティの統一は難しいと思いますが、スタジオミールを筆頭に高品質なアニメが増えてくる時期も近いかもしれませんね。
『ウィッチャー狼の悪夢』レビュー終わり!
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