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なぜ名作?『ライフ・イズ・ビューティフル』ネタバレ感想・キャラ設定や脚本考察,キャスト

映画『ライフ・イズ・ビューティフル』

映画『ライフ・イズ・ビューティフル』は、ユダヤ系イタリア人がナチスドイツに迫害されるなかで家族を守り抜く名作ヒューマンドラマ。

まだ観てない人のためにネタバレなしのあらすじ・見どころ

もう観た人向けにネタバレありの感想・評価や、なぜ名作と呼ばれているかの理由を考察してみました!

映画『ライフ・イズ・ビューティフル』キャスト・作品情報

公開・制作国:1997年 イタリア

監督:ロベルト・ベニーニ

脚本:ロベルト・ベニーニ

原題:『La vita è bella』

撮影:トニーノ・デリ・コリ

主演:ロベルト・ベニーニ/グイド・オレフィチェ役

出演:ニコレッタ・ブラスキ/ドーラ役

出演:ジョルジョ・カンタリーニ/息子・ジョズエ役

出演:ジュスティーノ・ドゥラーノ/叔父エリゼオ役

出演:セルジョ・ビーニ・ブストリッチ/フェッルッチョ役

ジム・ジャームッシュの『ダウン・バイ・ロウ』などで知られる俳優兼コメディアンのロベルト・ベニーニが、監督・脚本・主演の3つを務め、アカデミー主演男優賞を受賞した傑作です。

凄まじい才能ですね。

『ライフ・イズ・ビューティフル』ネタバレなし感想・あらすじと見どころ

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映画『ライフ・イズ・ビューティフル』は、第二次世界大戦中のナチスドイツによるユダヤ系のイタリア人迫害を描いた物語。

ナチスの影が徐々に迫ってきて、主人公・グイドが大切な人をどう守るかというストーリーです。

グイドが運命の女性と出会うところから始まる前半は超がつくほどロマンチックかつファニー

そして後半になるにつれてシリアスさが増していき、その明暗のコントラストが非常に味わい深いです。

息子を大切に思う父・グイドの行動は涙なしには語れないでしょう。

最近でいうと、タイカ・ワイティティ監督の『ジョジョ・ラビット』に近いです。(『ジョジョ・ラビット』が『ライフ・イズ・ビューティフル』を参考にしているのかもしれませんね。)

誰でも楽しめる名作中の名作なので、まだ見てない人はU-NEXTの無料体験などでぜひ視聴してみてください。

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※以下、映画『ライフ・イズ・ビューティフル』のストーリーネタバレありなので注意してください。

 

「Life is lies」嘘の素晴らしさ/考察

ライフ・イズ・ビューティフル考察

映画『ライフ・イズ・ビューティフル』の一番素晴らしい点は、人生における嘘を全肯定したところでしょう。

主人公・グイドはこの嘘によって息子・ジョズエを守り抜きます

重要なのが、グイドの嘘が誰も傷付けず、愛する人を守るためのものだということです。

嘘というと倫理的に悪いことのように思ってしまいがちですが、考えてみると誰かを楽しませるためにも、守ためにも嘘は欠かせません。

『ライフ・イズ・ビューティフル』を観ると、自分が子供だったときに親や大人がついていた大小さまざまな嘘が実は愛にあふれ、自分を守ってくれていたのだと実感できます。

だからこそ名作と呼ばれているのでしょう。

『ライフ・イズ・ビューティフル』ネタバレあり感想・評価

映画『ライフ・イズ・ビューティフル』の評価は90点。

ホロコースト(ユダヤ人迫害)を描いた物語として『シンドラーのリスト』と並ぶ傑作といえるでしょう。

嘘が愛であると気付かせてくれたこと以外にも素晴らしいポイントがたくさんあります。

では何がこの作品を特別たらしめているのか?

具体的に考察をしていきたいと思います。

ずっと道化のグイド

主人公グイドと息子・ジョズエ

『ライフ・イズ・ビューティフル』の何に感動したのか?といえばやはり父・グイドが息子を守ろうとする巧みな嘘や言動です。

ただ本作で特徴的だったのは、主人公・グイドのテンションが最初から最後までずっと変わらない点。

オープニングから強制収容所で射殺される悲しい結末まで、ずっと一貫して道化です。

息子・ジョズエのために“1000ポイント貯まったら戦車がもらえるゲーム”を笑顔で演じ続けるのは並大抵のエネルギーと愛ではできません。

それが伝わってくるからこその感動でもあるわけです。

さらにいうと、グイドがずっとテンションの高い道化キャラなことで、ストーリーにオリジナリティと一貫性がもたらされています

例えば、最初は元気ハツラツだったグイドが強制収容所で暗い雰囲気になっていったらもしかしたらありがちな悲劇で片付けられ名作と呼ばれてなかったかもしれません

また、グイドの道化キャラと強制収容所の悲惨な出来事との間でコントラストが生まれ、より視聴者が考えさせられて感動が能動的に得られる構造になっていたともいえます。

脚本の完成度が高すぎ

本作の脚本を書いたのは、主演と監督を務めたロベルト・ベニーニ。

趣味レベルですが小説などを書いている筆者からすると、『ライフ・イズ・ビューティフル』の脚本の緻密さというか、丁寧さに圧倒されてしまいます。

具体的にいうと、たくさんの伏線的設定が上手く活かされています。

例えば、ドーラと初めて会った時のグイドのダチョウを飼え発言が、のちのちドーラの婚約パーティーで出てくるダチョウ型のケーキにかかっていたり、

オペラ館でドーラを探すシーンが、収容所でオペラを勝手に流すシーンに繋がっていたり、

息子・ジョズエの風呂嫌い発言が、のちに収容所でシャワー送りを逃れるきっかけになったりなどなど。

つまり、前半のお茶目な笑えるシーンや設定が後半の収容所でのシリアスパートにそのまま活かされているのです。

たくさんの細かい設定を前半・後半でわかりやすく繋げるのはストーリーを練る側からすると難しいですし、さらにそれが面白さと感動を兼ね備えているとなると、その緻密さは測りしれないレベルです。

毒舌になってしまいますが、ハズレが多いNetflixのオリジナル映画(もちろん面白い作品もありますが)とかのシナリオと、完成度は比較にならないでしょう。

最後のまとめ

映画史に残る名作『ライフ・イズ・ビューティフル』!

人生は優しく素敵な嘘で彩られていると教えてくれた名作です。

映画から生き方や考え方を学べるという点でも価値がある作品でしょう。

『ライフ・イズ・ビューティフル』レビュー終わり!