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Smells Like Maniac 第3話 ソフィアはどこへ行った?

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Smells Like Maniac 第3話 ソフィアはどこへ行った?

 

〜ソフィア編〜

バスルームから出ると、金がテーブルに置かれていた。ソフィアはそれを一瞥すると服を脱いでシャワーを浴びる。ポーカーのあと、少しだけでいいから話をしたかった。バスローブを羽織り髪をゆっくり乾かした。部屋に一人でいるとホワイトブロウの静けさが余計に強まるようだ。今、自分以外の世界は消えてしまっているのではないか、上手く説明できないがそんな感覚になった。ガラス越しじゃなく、外の雪を見たい。ソフィアは窓を開け放った。ひりつくような冷気。雪月夜、初めて見る。見とれていると胸に焼け付くような熱さを感じた。体から何かが溢れ出ている。絶叫したつもりだったが、手袋をはめた誰かの手が喉の奥まで入り込んで塞がれている。月は雲に隠れた。それなのに辺りは白くまぶしい。窓から入る雪は、わたしに積もるだろうか。

 

〜ヴァン編〜

ソフィアが窓を自分で開けたのには少々驚いた。何の偶然だろうか。おかげでガラスを割る手間が省けたのではあるが。ヴァンは、2階の右端へ誰にも見られないように気を配りながら急ぐ。ジェームズはポーカーのあと、部屋に戻らずシアタールームへ入ったのを事前に確認している。中に入ると彼は中央席で一人映画を見ていた。ヴァンを一瞥すると隣の席に座れと指差す。まだスコッチを飲んでいるようだ。近づいてサイレンサー付きの銃を取り出すと、ジェームズはまだ状況を理解していないようだった。心臓を3発撃つ。ジェームズの口からどっと出た赤黒い液体がグラスに注がれる。何の映画だろうか、画面が爆発シーンか何かで一気に明るくなる。小さな光が見えた、スクリーンでなく客席の椅子と椅子との間でだ。ヴァンはそこに小型のカメラを見つけた。殺人の現場を撮るなど、依頼者の指示か何かはわからないが、完全にルールを逸している。事前に送られてきた。AM3:00にソフィアを、AM 3:30にジェームズを殺せという依頼。二人の殺害以外にも何か目的があるのか。ヴァンは怒りを何とか抑えて思考を張り巡らす。カメラを置いた人物を突き止めなければ。状況次第では予定外の殺しが必要だと考えた。

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