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ノスタルジア(映画)あらすじネタバレ感想考察!アンドレイ・タルコフスキー監督亡命

映画ノスタルジア

映画『ノスタルジア』は、旧ソ連で「映像の詩人」と呼ばれたアンドレイ・タルコフスキー監督の傑作。

本作のあらすじネタバレを紹介したあと、やや難解なこの映画のストーリーを解説。

映画ノスタルジアに込められたメッセージ、タルコフスキーの“想い”を探っていきたい!

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ノスタルジア(映画)あらすじネタバレ

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あらすじ1:アンドレイとエウジェニア

ノスタルジアの主人公アンドレイ

ロシアからイタリアにやってきた作家アンドレイ・ゴルチャコフ(オレーグ・ヤンコフスキー)。通訳でイタリア出身のエウジュニア(ドミツィアナ・ジョルダーノ)と共に、イタリア・トスカーナの田舎町シエーナに来ていた。

アンドレイは、亡命後にロシアに帰国して自殺した音楽家パーヴェル・サスノフスキーの取材のため、彼が訪れたイタリアの地を回っていたのだ。

せっかく聖母の絵を見に教会に来たのだが、なぜかアンドレイは入ろうとしない。教会ではたくさんの修道女が祈りを捧げていた。

アンドレイはその夜、泊まったホテルで、白黒の夢を見る。自分の故郷の大自然が霧に包まれていた。

アンドレイの夢のシーン

あらすじ2:奇人ドメニコ

ノスタルジア 奇人のドメニコ

温泉のある田舎町バーニョ・ヴィニョーニで、アンドレイはドメニコという言動のおかしな男性に出会う。ドメニコには世界の終焉が訪れると信じ、家族を7年間自宅に幽閉した過去があった。

アンドレイは、家の裏庭で固定された自転車をこぐドメニコに興味を持ち、家族を幽閉した件について語ってほしいと頼む。

ドメニコはアンドレイを家に案内し、ベートーヴェンの第九を流した。そして、「ロウソクを灯しながら、温泉を渡り切ってほしい。それができれば救われる」と話す。アンドレイは彼の頼み引き受けた。

ホテルに戻ると、エウジュニアが部屋で髪を乾かしている。エウジュニアはアンドレイが自分を女として見てくれないことに業を煮やし、怒ってローマに帰ってしまった。

ノスタルジアのキャスト エウジュニア

アンドレイは吐血。彼は心臓病を患っていたのだ。

あらすじ3:アンドレイのノスタルジア

イタリア滞在期間が終わりを告げようとしていたとき、アンドレイはエウジュニアから電話を受ける。

ドメニコがローマのカンピドリオ広場のマルクス・アウレリウス像の上に立ち、声を張り上げて演説を続け、さらにアンドレイが約束を果たしたかどうか尋ねているらしい。

ドメニコはガソリンをかぶり、ライターで火をつけてマルクス像から転げ落ち、焼身自殺。

焼身自殺したドメニコ(映画ノスタルジア)

アンドレイは帰国を先延ばしにし、バーニョ・ヴィニョーニに戻ると言うと、付き人は、「そうするだろうと思った」と話す。

アンドレイは、水が抜かれた大きな温泉でロウソクに火を点け、反対側まで渡ろうとする。2度ロウソクの火が消えて失敗。3度目になんとか反対側に着き、アンドレイはその場に倒れた。

アンドレイは、雪が降る故郷の風景を思い描いている。

ノスタルジアのラストシーン

映画ノスタルジア

ノスタルジアは亡命する男の苦悩を描いた映画

映画ノスタルジア

ノスタルジアは説明セリフの少ない映画なので、ストーリーの意味がよくわからなかったという人も多いだろう。

結論から述べると、ノスタルジアロシアからイタリアに亡命する男の心象風景を映した映画だ。

冒頭から、アンドレイは亡命することを考えていた。そしてロシアに残す家族や故郷の風景を二度と見ることができないと思い、深く悩む。

しかし、その悩みを直接口に出すことはなく、彼が亡命するという説明もないため、視聴者は混乱する。

その代わりに、もの哀しい主人公の心象風景を映像で美しく表現した。ノスタルジアはそんな映画だ。

ノスタルジアのラストの意味/ロシア人は死んだ

ノスタルジアの主人公

ノスタルジアではラストでは、主人公アンドレイが、温泉(お湯の抜けた大浴場)で倒れこみ、死んだのかなんなのかよくわからない場面で、故郷のイメージに映像が切り替わって終わる。(※ロウソクの火は硫黄や温泉ガスに引火しないのか?とも思ったが、ガスが噴き出しているところじゃないので可能性は低いだろう。)

彼は心臓病なので死んでしまったという解釈もできるし、倒れて気絶しているだけとも取れる。

僕なりの結論は、ロシア人としてのアンドレイは死んだ!というもの。

亡命するとは、ロシア人としての自身の魂を殺すことなのだ。

それくらいの凄まじさが画面から伝わってきて、かつ非常に美しいラストだった。

 

ノスタルジアアンドレイが亡命した根拠

アンドレイとエウジュニア

映画ノスタルジアでは、「アンドレイはイタリアに亡命した!」とはひと言も言っていない。しかし、いくつかの故郷を捨て去ることが決定的なシーンがある。それらを解説していく。

教会に入ろうとしないアンドレ

冒頭でわざわざマドンナ・デル・バルトの聖母画を見にきたはずが、教会に入ろうとしないアンドレイ。

故郷や家族を裏切るという自責の念があり、神に許されないという良心の呵責があったのだろう。

付き人の発言

アンドレイがロシアへの帰国を遅らせると言ったとき、付き人(ホテルのボーイ?)が、「そうすると思っていた」と発言するシーンがある。

この付き人がこれまでに、多くのロシア人亡命者を見てきて、アンドレイも亡命するだろうと考えていたことがわかる。

ノスタルジアの温泉地

アンドレイ・タルコフスキー監督の亡命から完成度の高さを紐解く

ノスタルジアの美しいシーン

映画ノスタルジアの完成直後、アンドレイ・タルコフスキー監督はなんと亡命を宣言。このことからも、ノスタルジアが亡命を描いた映画だとわかる。

主人公のアンドレイ・ゴルチャコフは、アンドレイ・タルコフスキー自身を投影したものなのだ。

ノスタルジアは、超パーソナルな映画だといえるだろう。

映像美が主人公の内面を語りかけてくれるように美しかったのは、アンドレイ・タルコフスキー監督のリアルな葛藤が反映されていたからなのだ。

ノスタルジア考察/主人公アンドレイ複雑な心情

 

ドメニコのように家族を犠牲にして信念を貫く

ノスタルジアのドメニコ

主人公アンドレイはなぜ、ドメニコに興味を持ったのか?それは、ドメニコが自分の考えを押し付けて家族を犠牲にしてしまった人物だからだろう。

アンドレイも亡命すれば、祖国ロシアに残った家族は取り調べを受けたり不遇な目にあうわけで、それを知りながらも亡命する自分とドメニコを重ね合わせていたのだ。

アンドレイの夢に出てくる犬と、ドメニコが飼っている犬が同じだったことも、二人の同一性を示唆している。

サスノフスキーのように故郷を切望すると知っている

アンドレイ(映画ノスタルジア)

主人公のアンドレイが自分を重ね合わせていた人物がもう一人いる。それは、彼が取材する音楽家のサスノフスキーだ。

サスノフスキーは亡命したが祖国ロシアに帰り、農奴となって自殺したと語られている。

アンドレイは、自分もサスノフスキーと同じように亡命したあとで激しい後悔が襲ってくることを知っていたのだろう。

だから、まだ亡命していないにもかかわらず、家族や故郷が白黒の夢となって現れたのだ。彼はこれから先ずっと故郷の幻影に苛(さいな)まれると悟っていた。

ドメニコとサスノフスキーに自身を投影

ドメニコとアンドレイ

ノスタルジアで、主人公アンドレイは終始悩んでいるような険しい表情を見せるのだが、その心情を投影して、奥深いものにしている2人が奇人ドメニコと音楽家サスノフスキーだ。

この2人が物語に登場することで物語が複雑になるが、アンドレイの境遇や心情を説明していると考えれば、ドメニコのストーリーとサスノフスキーの描写の意味がわかりやすくなるだろう。

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記事の画像引用元:nostalghia - IMDb