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アニメ映画『ソウルフルワールド』ネタバレあらすじ解説!カエデの種やスパークきらめきの意味考察

ピクサー『ソウルフルワールド』

ディスニープラスで配信中のピクサー映画『ソウルフルワールド』は、人が生きる意味や喜びを感動と共に伝えてくれる超傑作だった。子供よりむしろ大人が観るべき作品だろう。

ネタバレあらすじか解説のあと、感想・評価やメッセージの考察をしていきます。

キタコレ名作!完全に大人向けの素晴らしいメッセージじゃん!世界中の大人に見てほしい感動作!

 

『ソウルフルワールド』ネタバレあらすじ解説

☞クリックで『ソウルフルワールド』あらすじネタバレ表示

ソウルフルワールド 街を歩くジョー・ガードナー

中学校の非常勤音楽の中年男ジョー・ガードナーは、正規採用されると聞いてジャズミュージシャンの夢をあきらめようか迷う。そこへ元教え子のドラマー・カーリーから電話が入り、ドロシア・ウィリアムズのバンドで演奏しないか?と言われ喜んだ。店で音を合わせ、合格をもらったガードナーは有頂天になって街を歩いていると、マンホールに落ちてしまう。

気がつくと青白い魂の姿になっており、あの世へ行く長いエスカレーターに乗っていた。夢を諦められないと反対側へ逃げ、エスカレーターから落下。

ユーセミナーでジェリーと喋るジョーガードナー

草むらが茂った場所につく、そこはユーセミナーという魂が生まれる準備をする場所だった。小さくて無垢な魂たちが個性をつけるために、いろいろ学んでいる。

運営のジェリーがガードナーをメンター(教育係)と間違え、何年もスパーク(個人のきらめき)を見つけられずこの場所にとどまり続ける“22番”の指導をすることに。

22番の魂とガードナー

22番がスパークの印を得たら、それを奪って地上に戻ることを考えたガードナー。しかし22番は何事にも興味を示さない。22番はガードナーをゾーンの世界へと連れていく。そこは、地上でゾーン(集中状態)に入った人々の魂が出現する場所だった。そこで迷える魂を体に戻す活動をするムーンウィンドに会い、地上に戻る穴を通ることになるが、22番も一緒に入ってしまう。

ピザを食べる22番と猫になったガードナー

気がつくと、ガードナーの心は病院のベッドにいた猫の体に入っており、22番がガードナーの体に入っていた。2人は病院を脱走する。

22番はガードナーの体を通してピザを食べるなど、“生きること”に触れ心を動かされる。家で身支度をしていると、教え子のコニーがやってきて「音楽は無意味だからやめる」と言うが、トロンボーンを吹くと満足げに返っていった。

ガードナーと22番は破れたスーツを直してもらうため、母の裁縫店に行く。母は就職しろというが、音楽への熱い想いを説き最高のスーツを仕立ててもらう。

22番は道でくるくる回って落ちてくるカエデの木の種を見て感動する。

2人は体を戻すために地上にいるムーンウィンド(本体)のところへ行くつもりが、ユーセミナーの勘定係・テリーに見つかって天界に連れ戻されてしまう。

22番は地上での生活を体験したことでバッジにスパークの印を得ていた。しかしガードナーが「君には目的がない」と文句を言ったことで、22番は印を投げつけてどこかへ行ってしまう。

ガードナーはそのバッジを持って地上に行き、ドロシー・ウィリアムズのバンドで素晴らしい演奏をみせて、バンドへ正式加入することに。しかし心はどこか冷静だった。

ドロシーウィリアムズとガードナー
家に返って、22番が地上で食べたピザのカケラや飴玉を見ながら演奏しているとゾーンに入り、ゾーンの世界に到達。そこでムーンウィンドに会い、22番が迷える魂になっていると知る。ガードナーは巨大な黒い塊になった22番を追いかけると、中へ吸い込まれた。

22番は目的に囚われていたのだ。ガードナーはカエデの木の種を22番に渡すと、もとの魂の状態に戻る。22番は生まれるため地上へと飛び立って行った。

22番にカエデのタネを渡すガードナー

ガードナーはあの世へ行くはずだったが、運営のジェリーの計らいで地上に戻れることになり、精一杯生きることを決心する。

映画『ソウルフルワールド』END!

ソウルフルワールド感想評価/ずべての大人が観るべき傑作

ピクサーの映画ソウルフルワールド

評価は92点くらい。大人が観るべき最高のアニメーション映画!とっても感動した。名作といって良いだろう。

ガードナーの夢はジャズミュージシャンだったが、その夢よりさらに深い場所にある大切なものを発見する結末がとても深い。

ガードナーは子供の頃にジャズを聞いてきらめいたことが根底にあり、人が“きらめき”を覚える瞬間にたずさわりたいとわかった

彼は教師を精一杯続けるつもりなのだと思う。

人から人へ何かが伝わる瞬間の喜びがもっとも尊いものであり、人生の意味なのかもしれない。そんな言葉では伝えにくいことを完璧なストーリーで表現している。

教師はもちろん、世界中の大人が観るべき傑作だと感じた。ピクサーすげえ!

音楽好きの目線で言うと、ドラマー・カーリーの声優がディアンジェロやザ・ルーツで有名なスーパードラマー・クエストラブだった。クエストラブはたまに俳優としても活動しているし映画『サマー・オブ・ソウル』では監督も務めるらしい。ピクサーが細かいキャストにもこだわっているのだと感心した。

ソウルフルワールド考察/ピクサーによる大人向け哲学作

ジャズを演奏するソウルフルワールドの登場キャラクター4人
2021年第93回アカデミー賞長編アニメーション賞を受賞した『ソウルフルワールド』のメッセージはどう考えても子供向きではなく、哲学的だとすら言える。

アニメーション自体やキャラデザインもとても素晴らしかったので、子供が見て楽しくないことはないと思うが、「生まれる前に個性やスパークが必要」「中年おじさんがミュージシャンの夢と教師の間で揺れる」「目的の虚しさ」など、10代前半の子たちはストーリーの意味自体がピンとこないのではないか?

そもそもスパーク(きらめき)とは何か。個人的には“生きる喜びを感じること”だと考えるが、作中では明言されていない。

映画を見ている人が自分の人生を鑑みて、スパークについて自分なりの答えを出すところに『ソウルフルワールド』の大きな意義があると思う。しかしそこも、人生経験の少ない10代にはちょっとハードルが高い気がする。

『ソウルフルワールド』は子供向けアニメの皮を被った、大人向けの深いヒューマンドラマだといえるだろう。

ピクサーは大人向け作品に舵をとる戦略らしいが、今作を観る限りそれが成功していると思う。ヒューマンドラマ要素が強いものはもちろん、今後はサスペンスやアート系などのアニメーション映画も流行っていくかもしれない。

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