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映画『グエムル-漢江の怪物-』あらすじネタバレ解説・考察!韓国社会のメタファー,娘ヒョンソを2度失うラスト結末の感想

グエムル 漢江の怪物

『グエムル-漢江の怪物-』(英題:The Host)は傑作だが、『パラサイト半地下の家族』と比べると、非常にテーマわかりにくかったと思う。

そこで、ポン・ジュノ監督がこの映画で伝えたかったことは何なのか?

あらすじネタバレをわかりやすく書き、考察して徹底解説します!

 

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『グエムル-漢江の怪物-』あらすじ完全ネタバレ解説

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あらすじ1:漢江の怪物誕生

十数年前、ある研究室で在韓米軍の職員が韓国人の部下に、ホコリにまみれた薬品の瓶の中身をすべて水道に流して処分することを指示。

現在、漢江の川岸で父・ヒボン(ピョン・ヒボン)の経営する売店を手伝う主人公パク・カンドゥ(ソン・ガンホ)。川に突如巨大な怪物(グエムル)が現れ、人々を襲いはじめる。

グエムルから逃げる主人公パク・カンドゥ

中学生の娘・ヒョンソ(コ・アソン)は怪物に喰われ、水の中に沈んでいった。

グエムルに襲われ引きずり込まれるヒョンソ

韓国政府から、グエムルが危険な病原菌のホスト(宿主)であると発表があった。カンドゥの弟・ナミル(パク・ヘイル)と、アーチェリーの大会で銅メダルを獲った妹・ナムジュ(ペ・ドゥナ)がヒョンソの葬式にやってくるが、カンドゥはグエムルと接触した疑いで病院へ強制連行された。夜、携帯にヒョンソから電話がかかってくる。

あらすじ2:生きていたヒョンソ

ヒョンソは巨大な排水溝に吐き出され、食べられずに生きていたのだ。

排水溝のヒョンソ

カンドゥは電話の話をいろいろな人にするが、家族以外誰も取り合ってくれない。

病院のパク一家

父・ヒボンは全財産を叩いて裏稼業の人間を雇って手はずを整え、彼らの斡旋でパク一家は病院を脱出。

川に薬剤を巻く検疫会社になりすまし、川付近への侵入に成功した。

銃を持って漢江の周りの排水溝を探し回る。しかし、グエムルに襲われ、銃撃戦になり、父・ヒボンは叩きつけられて死亡。

父・ヒボンの死亡シーン

カンドゥも医療機関に取り押さえられる。ナムジュとナミルは河川敷から逃げた。

一方ヒョンソは、排水溝の奥に隠れ怯えていた。パク一家の売店を漁ったホームレスの少年・セジュ(イ・ドンホ)が怪物の口から吐き出される。

セジュとヒョンソ

少年の兄は死んでいるようだ。ヒョンソはセジュを励ます。

ネタバレ3:ナミルとナムジュの奮闘

カンドゥの弟・ナミルは、警察や政府機関に追われながら、かつての先輩の協力のもと、携帯の履歴から、ヒョンソがウォニョ大橋の北側にいることを知り、ナムジュに連絡。彼女は現場に向かって怪物に矢を向けるが、弾き飛ばされてそばの排水溝に落ちて気を失う。

グエムルに矢を向けるナムジュ

ネタバレ4:グエムルとの決着

カンドゥは細菌入りの自分の血液の注射針で看護師を人質に取り、脱走に成功。ナミルは知り会ったホームレスを連れ、火炎瓶を持ってウォニョ大橋へ向かった。

ヒョンソは死人の服を結んでロープを作り、排水溝から脱出しようとするが失敗。少年・セジュもろとも喰われてしまう。

漢江に米軍が超強力な薬物“エージェント・イエロー”を散布しようとし、デモ隊と衝突する中、グエムルが橋の下に現れた。

グエムルは警官に撃たれ、ヒョンソとセジュを吐き出す。

ナミルが連れてきたホームレスがグエムルにガソリンを浴びせ、ナムジュが火矢を放ってグエムルは燃えた。

燃えるグエムルとナムジュ

カンドゥが鉄棒で目から串刺しにし、グエムルは息絶える。

グエムルを串刺しにするカンドゥ

カンドゥはヒョンソを抱きかかえるが、すでに死亡していた。

エピローグ:新しい生活

カンドゥは、売店を経営しながらセジュと一緒に暮らしていた。いつグエムルが現れてもいいように、銃を置いている。

映画『グエムル-漢江の怪物-』END!

映画グエムル漢江の怪物 ぶっちゃけ感想

『パラサイト』みたいにエンタメに振り切っているわけではないし、『殺人の追憶』や『母なる証明』のように人間の闇を暴く感じもなかった。

興味深いし、傑作の部類に入ることも間違いないけど、すごく面白いかといわれると正直微妙。どちらかというと感心した!に近い

グエムル漢江の怪物はセウォル号のメタファー?ネタバレ徹底解説!

国家間の力の差が国民の命を奪う

グエムルに出演したソン・ガンホ

あらすじ1部分で、在韓米軍が薬品を捨てさせるところは、明らかなアメリカ批判になっていて、環境汚染や国家間の格差を指摘している。

どこかの誰かのせいで怪物が誕生し、罪のない人が死んでいくのだ。

ネタバレ4も一緒で、米軍が韓国政府を意に介さず、デモ隊がいる状況下で危険な薬を散布する様子は、国の争いに巻き込まれて命を落とす国民そのもの。貧乏な国民の命は、強い国の気分次第ということだろう。

ただ、社会の格差問題だけではなく、韓国社会システム全体を批判している。

セウォル号沈没事故のメタファー

セウォル号沈没を暗示するシーン
映画グエムルの公開は2006年だが、2014年のセウォル号沈没事故に重なる。

劇中の怪物をセウォル号に置き換えても、カンドゥたち遺族の言動に違和感はない。(セウォル号は救助の遅れで299人の死者を出した事故)

もちろんセウォル号が本作の直接モチーフになったわけではないが、似たようなことを韓国国民はずっと経験してきているのだと思う。

グエムルの大きなテーマは、自分を優先させて人のことを考えて行動できない社会への批判だ。しわ寄せを受ける人々を映画で表現しているのだろう。

グエムルはセウォル号のメタファー、ひいては韓国社会システムの象徴なのだ。

遺族が肉親を二回失う悲しみと憎しみ

グエムルのキャスト

さっきの社会システム=グエムルにつながる話だが、本作では、遺族が災害で肉親を失うショックを何回も受けることを具体的に表現している。

娘・ヒョンソは冒頭で怪物に喰われたときに(結果生きていたが)、父・カンドゥらは大きな悲しみを受け、さらにラストでは少し間に合わず救えるはずだった娘が目の前で死んでしまう。

現実に話を戻すと、遺族は第一に事故・災害など直接的な原因を悲しみ憎む。のちに社会構造による人災もあったとわかると、システムに肉親を殺されたように感じ、二度目の大きなショックを受けるのである。

その点が映画グエムルではわかりやすく伝えられた。

『グエムル-漢江の怪物-』ジャンルレスな特徴を考察

グエムルの登場人物ナムジュ

グエムルを見て、「ジャンルは何なの?」と感じ、入り込めなかった人は多いかもしれない。

モンスターパニックかと思いきや、コメディシーンがたくさんあるし、家族愛も描かれている。環境問題や社会システムへの風刺もあり、盛りだくさんだ。

グエムルの特徴は、カテゴリー分けに困るジャンルレスなところだといえる。

『パラサイト半地下の家族』の記事で、クライムコメディ、ステルスゲーム、サスペンスホラーの3部構成になってると解説したが、グエムルの場合は複数のジャンルが常にごちゃまぜ状態

例えば娘・ヒョンソの葬式シーンは主人公の家族たちの破天荒ぶりはコメディだけど、笑っていいか微妙な気分になる。

映像の構図や展開からは、ポン・ジュノ監督は非常に計算高いとわかるので、あえてジャンルわけできないスレスレの配分で描いてオリジナリティを出しているのだろう。

あとは、モンスターパニックで社会風刺をやった点がとても斬新

パンデミックで社会問題を指摘した映画『コンテイジョン』に笑いまで取り入れた感じだ。

グエムル-漢江の怪物のトリビア

映画グエムルのヒョンソが襲われるシーン

  • ポン・ジュノ監督は、駐留米軍がホルムアルデヒドという薬品を漢江に大量に流出させた事件を、冒頭で取り入れている。

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